第54章 お手伝い
無一郎はこれから学校に通うそう。
千寿郎とは学年が違うが、同じ学生となる。
「無一郎くんにも、素敵な出会いがあると良いわね。」
無「僕は恋という意味での出会いとかはいらないよ。
泰葉以上の人が現れれば別だけど…難しいだろうし。
でも、友達は大事にしたいと思う。」
なんだか恥ずかしい事をさらっと言われたような気がするが、本当に友達は大切にしてほしい。
そして、千寿郎と無一郎はこの想いが合致し、後に仲良くなる。
天元は今まで通り。
3人の奥さんと楽しく過ごしていくという。
美しいものに興味のある天元は最近、絵を描き始めたそう。
天「上手いとかじゃねぇ。思ったように描きゃ満点だ!!」
なるほど。
流石です。
行冥はまた寺に身寄りのない子供達を集めて生活していきたいと話す。
杏「しかし、不死川弟もいなくなると、1人でか?」
行「いや、実はもう1人見てくれる者がいる。」
誰だ?と皆が首を傾げると、行冥が数珠を鳴らす。
行冥の話によると、行冥が鬼殺隊に入る前、身寄りのない子供達と寺で生活をしていた。
毎日藤の香を焚いて眠っていたが、ある日夜になっても戻らない1人の子供が鬼に遭遇し、その鬼に行冥達を売られた。
その子供は自分を助けてもらう代わりに、藤の香を消して寺を襲わせた。
行冥が寺にあるものでなんとか太刀打ちしたが、子供達は皆殺されてしまい、残ったのは一番幼かった少女と、血塗れの行冥。
そして、あたりに散らばった子供達の残骸。
翌日、大人に事情を聞かれた少女は
『あの人は化け物。みんなあの人が…あの人が殺した。』
と、答えたそうだ。
行冥が特に子供に対し疑い深くなったのはそれが原因。
それから牢獄に入れられた行冥は、耀哉に救われ鬼殺隊に入ったという。
そして、その生き残った少女は『沙代』という。
行「…彼女は隠として、鬼殺隊にいたのだ。
いつか私に本当のことを話そうと。謝ろうと。」
無惨が消滅した跡、行冥に付き添う女性隠がいた。
それこそが沙代。
その時に全て話してくれて、泣いて謝っていたという。
行「だから、私と沙代で…もう一度人生をやり直すつもりだ。」
辛かっただろうに、今はまた2人で頑張ろうとしている姿に感銘を受ける。
応援してやりたいと、全員が思った。