第54章 お手伝い
杏寿郎達は予定通り剣術道場を開き、泰葉はその弟妹を預かる託児をする。
少しでも、育児に忙しい親の休息になってもらえれば良い。
なんとも杏寿郎と泰葉らしいこれからだ。
天「しかし、手加減してやれよ?炎柱の稽古には隊士でさえも付いてくのが辛いんだからな。」
杏「うむ!俺の相手は子供だからな!善処しよう!」
槇「俺の相手は大人だからな。少しぐらい頑張れるだろう。
ま、体力が違うことは承知している。」
その発言に「大丈夫だろうか…」と皆が心配した。
「皆さん、それぞれ楽しみですね。またちょこちょこお会いしましょうね?」
忙しくては会えなくなってしまうのでは…と心配したが、皆の表情を見てみると、もちろん、とその心配はないようだ。
実「…で、泰葉はいつまで俺達に様を付けてるんだァ?」
「え?」
天「もう俺らも一般人。しかも年下。様なんかいらねぇだろ。」
た、たしかに…。
しかし、今更呼び方を変えるのは何とも…
「じゃ、じゃあ、さんに変えたら良いです?」
実「呼び捨てても良いくらいだけどなァ。
まぁ、それは抵抗あるだろうし、煉獄が黙っちゃいねぇだろうから、呼びやすいように呼べェ。ただし!様は止めろォ。」
「で、では、不死川さん、宇髄さん、伊黒さん、冨岡さん、悲鳴嶼さん…」
そう呼ぶと心なしか、皆の表情が明るくなる。
天「少しずつ近づいた感じだな。また時が経てばきっと変わるだろうよ。」
呼び方とは…そういうものなのか…と、泰葉は考えたが、皆満足そうなので良しとする。
その後も宴会は続き、煉獄家に泊まることになった。
「みなさん、おやすみなさい。」
泰葉は皆に挨拶をし、離れに向かう。
杏寿郎も当然のように付いてきた。
杏「皆,ゆっくり休んでくれ!」
いくつかある部屋を割り振る。
蜜璃と小芭内はまだ一緒に住んだりはしていないようで、緊張するからと、なぜか別々の部屋を希望された。
なので、しのぶと蜜璃で一室。
あとは男性陣は大広間を使う。
天「おう!明日な!…楽しみすぎて寝不足にならないようにな。」
ニヤニヤと笑う天元に、泰葉と杏寿郎はブワッと赤くなる。
そこに実弥が天元の背中をバシッと叩く。
実「止めろォ。」