第54章 お手伝い
千寿郎は米を炊き、その間に泰葉は味噌汁を作る。
出汁を取っている時、具にするじゃがいもを切ることにした。
杏「泰葉さん!俺も手伝おう!」
玉ねぎの皮むきを無事終えた杏寿郎は、隊服姿だったのを思いだし、着流しに着替えてきた。
袖に襷をかけてやる気満々である。
その姿は子供のようで、可愛らしい。
「じゃぁ、今度はじゃがいもの皮を剥きましょう。」
包丁で器用に皮を剥いて見せると、杏寿郎は途端に難しい顔をする。
「大丈夫ですよ。」
泰葉がにっこり笑うと、杏寿郎は恐る恐るじゃがいもと包丁を手に取った。
見様見真似でやってみると、立派なじゃがいもは、欠片に姿を変えた。
「あらら。これはね、こっちの包丁を…」
隣から手を取り教えるが中々上手くいかない。
「んー…、やりづらいな…」
泰葉は杏寿郎の背後に回り込み、後ろから杏寿郎の手を取ろうとした。
体勢の理想としては二人羽織。
…しかし、泰葉と杏寿郎の体格差でそうなるはずもなく…
杏「泰葉…さん…?俺は…嬉しいのだが…」
「………。」
ただ泰葉が後ろから抱きついているようにしか見えない。
そして、そんな時に限って…
千「あにう…え!!」
杏寿郎を呼びに来て、顔を真っ赤にして固まる千寿郎。
実「オイ…見せつけてんじゃねェ。」
天「おぉ、お熱いこったねぇ。」
蜜「やだ!泰葉ちゃんたら意外と大胆だわっ!!」
戻ってきた柱達。
槇「お前たち、人前ではやめなさい。」
槇寿郎まで…。
泰葉は恥ずかしさで、そのまま杏寿郎の背中から顔を離すことができずにいた。
「ち、違うんですぅ…」
力なく泰葉の言葉は杏寿郎の背中に消えて行った。
杏「俺は嬉しいぞ!!!!」