第54章 お手伝い
天「…んー、なんか腹に溜まるもの食いてぇなぁ。」
「お腹に溜まるもの?」
お酒を飲むのでは?と思ったが、その要望があるのなら応えよう。
杏「では、カツ丼がいいな!!」
「カツ丼…」
豚カツを卵と出汁醤油でとじたものか…。
そうなると豚肉か必要だ。流石に人数分をすぐに出せるほど置いてはいない。
「作るのは可能ですが、それには材料が足りません。」
し「では、私たちがこのまま買いに行きましょう。
泰葉さんと煉獄家の皆さんはお家に戻っていてください。」
蜜「ちゃんと買ってくるわ!私たちとっても良い戦いを見せてもらったから!そのお礼。」
そう蜜璃がウィンクした。…可愛い。
杏「…分かった!すまないが任せよう!」
「ありがとうございます。では、お米を炊いて待っていますね。」
そうして、二手に分かれる。
煉獄家の門を潜ると、千寿郎があっ!と声を上げる。
千「お米が足りませんね。倉庫に取りに行ってきます。
父上、お願いできますか?」
槇「あぁ、分かった。」
槇寿朗と千寿郎は米を取りに。
泰葉と杏寿郎がそこに残る。
「カツ丼には何が入りましたっけ?お肉と…玉ねぎ?」
合計13人前を作らねばならない。
内2人は何杯食べるのだろうか…。
「杏寿郎さん、玉ねぎを切るのを手伝ってもらえないかしら?」
泰葉はこれでは腱鞘炎になるのではと思い、杏寿郎に協力を仰ぐ。
すると、パァッと明るい表情になる杏寿郎。
杏「いいのか⁉︎よし!承知した!!」
どうしてそんなに嬉しそうなのか…。
泰葉は首を傾げながら、野菜庫から大量の玉ねぎを引っ張り出した。
「まずは玉ねぎの皮むきからね。」
泰葉が玉ねぎの上と下を切り落とし、杏寿郎に渡す。
そして、杏寿郎はその皮を剥く…のだが…
ペシャッ…
「⁉︎」
杏寿郎の手にはすり下ろしになったのか?と思われる玉ねぎの姿。
これは…どういう事だろうか?
杏「よもや…」
「も、もう一個ありますから。」
もう一度手渡す。そして剥こうとすると…
ペシャッ…
『………。』
手伝いを頼み、喜んだ理由。
力加減が上手くいかず、千寿郎に止められているからだった。