第54章 お手伝い
手合わせも終わり、裏山を下り始める。
2人のいた場所は実際に炎は出ていないはずなのに、プスプスと焼け野原になっている。
「随分と…野焼きのようですね。」
泰葉が後ろを振り返りながらクスリと笑う。
杏「うむ!自分たちの土地でなければ、苦情案件だな!」
柱達は「でしょうね。」という表情を浮かべる。
杏寿郎にその自覚があることに安心した。
槇「ところで、皆は昼飯を食べていくのだろう?久方ぶりの再会なんだ。話したいこともあるんじゃないのか。」
槇寿郎からそんな話が上がるとは。
天「親父さんに言われちゃぁ、帰るわけにはいかねぇよなぁ。」
実「てめぇ、さらさら帰るつもりなかっただろうがァ。」
「私も、差し入れにお酒を持ってこられた時点で、宴会されるんだなぁ…と思ってましたよ?」
『ぷっ』
天元の思惑が見事にバレていたのに皆は吹き出す。
天「んだよ!皆だってそうだろう?帰るつもりのやついたら手を上げろ!」
ガーッと目くじらを立てて、俺だけじゃないだろうと捲し立てる。
天元の言う通り、では…。と帰るつもりなど毛頭無く、皆集まる気満々だった。
蜜「お団子も持ってきたのよ。ね?伊黒さん。」
蜜璃の声に頷く小芭内。
実「西瓜も持ってきたしなァ。」
気付かなかったが実弥の脇には西瓜が抱えられている。
し「あらあら、私は生姜の佃煮です。」
義「鮭…はダメだと思ったから、不死川…おはぎを持ってきてやったぞ。」
実「アァ⁉︎なんでテメェのおはぎ食わなくちゃならねぇんだ!!」
義勇は心外!という顔をする。
この2人は相変わらずなのだろうか…。
「不死川様、冨岡様がせっかく作ってくださったんですよ?」
泰葉がそんな言い方は良くない、と咎めると実弥は気まずそうに頭を掻く。
実「わーったよ!ありがとなァ、冨岡…。」
ありがとうと言われるとは思っていなかった義勇は、パァッと嬉しそうな表情を見せる。
義勇はあの決戦の日から…随分と変わった気がする。
「さぁ!千寿郎くん!帰ったら皆さんの宴会の準備をしましょう!」
千「はい!!」