第2章 無限列車
一気に景色は変わり、3人は桜並木を歩いていた。
「綺麗…」
母「本当ね。こうして桜を見ると、幸せだなぁって思うのよ。」
「幸せ…」
父「そうだな、こうして3人が同じく綺麗だと思える。それは幸せな事だと思うよ。」
母「これから、こういう幸せを感じる時も、辛い思いをすることもある…
でもね、私たちは泰葉が前を向いて歩いていくのを、心から願っているわ。」
「うん…」
「泰葉大好きよ…」
泰葉は両親に抱きしめられながら、柔らかい笑顔を浮かべる。
この時、初めて笑ったんだった…。
ーーーーーーー
泰葉達が夢を見ている頃。
炭治郎と伊之助は、この列車が下弦の壱 魘夢と融合した為、内部からの攻撃に移る。
「よもやよもやだ!うたた寝している間にこんな事になっていようとは…
柱として、不甲斐なし!
穴があったら、入りたい!」
杏寿郎は一気に攻撃を細かく刻んでいく。
ドォォン!
一際大きな音がすると、杏寿郎は炭治郎の前に立っていた。
的確に指示を出して、また轟音と共に後ろ5両へと戻る。
この列車は8両編成。
善逸と、鬼となった炭治郎の妹 禰󠄀豆子は前3両。
杏寿郎が後ろ5両。
炭治郎と、伊之助でこの列車となった鬼の頸を探す。
それぞれ指示に従い、攻撃に移る。
列車はうねうねと触手なようなもので、乗客を捕らえていく。
禰󠄀豆子も鬼となりながらも人を守りながら戦う。
覚醒した善逸の攻撃で閃光が走る。
杏寿郎は一人で5両の触手を斬りつけていた。
幾分、この触手の再生はゆっくりであるが、やはり広範囲なのでなかなか手強い。
泰葉はその後5両…全体でいう7両目にいた。
6両目で杏寿郎は斬撃を繰り出しており、7両目もじわりじわりと触手が伸びる。
窓にもたれるようにして眠っていた泰葉はゆっくりと、触手に捉えられてしまった。
杏寿郎が7両目に着いた時には、触手が何本か乗客を捉えている。
それを切り落としながら斬撃を与える。
その中に見覚えのある顔があった。
「…君はっ!」
触手に捕らわれ、カクンと項垂れている泰葉だった。
「…不知火!」
杏寿郎は泰葉を受け止めた。
「おい!君!大丈夫か!」
…しかし、返事はない。
口元に耳を近づけると、息はしていた。