第6章 再会
みんなでガチャガチャと酒瓶を運ぶ。
異様な光景である。
しかし、杏寿郎と、千寿郎は嬉しそうだった。
勝手口の外に酒瓶を並べる。
「これは、明日にでも酒屋さんに、回収をお願いして下さいね。」
泰葉は振り返り、誰にという事なく伝える。
槇「あぁ、俺が飲んだものだ。俺が頼もう。」
罰が悪そうな槇寿郎。
その言葉に兄弟は驚いた様子だったが、ニコニコと顔を見合わせていた。
(さてと、この家族の仕上げに取り掛かりますか。)
泰葉も、いつまでも人様の家にいるわけにはいかない。
泰葉は槇寿郎を見る。
「せっかく、一緒に運んできた事ですし、お部屋へご招待されては?」
その言葉の意味を汲み取る槇寿郎は、少し気まずそうに頷く。
「2人とも、俺の部屋へ来てくれるか?」
拒否することもできる問いであった。
泰葉はどこまでも不器用だな…と苦笑いを浮かべた。
だって、この息子達が拒否をするわけがないじゃない。
「「はい!」」
3人は槇寿郎の部屋へと行き、
泰葉は邪魔になると思い、居間へと移動した。
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槇寿郎は、部屋に入り自分の前に2人を座らせた。
すると、手をついて頭を下げる。
その姿にギョッとする息子達。
槇「お前達には、今まで苦労をかけた。
お前たちに向き合う事が、いつしか怖くなってしまった。
許さなくてもいい、恨言を言ってもいい
情けない父であるが、これから守らせてくれないだろうか。」
千寿郎は大きな目から涙を流す。
杏寿郎はギュッと手を握った。
杏「俺たちは、父上を恨んだりしたことはありません!
俺は、貴方の熱き心を知っている!
その心の火がずっと燻っているだけで、
尽きてはいないと、信じてきました!
これからは!
俺たちを守るのではなく!
家族で互いを守っていきたい!」
真っ直ぐな言葉だった。
千「僕の、父上はっ…貴方しかっ、いませっ、ん」
泣きながら千寿郎は槇寿郎に抱きついた。
そして、ありがとうと言いながら3人は抱き合った。
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