第6章 再会
泰葉と槇寿郎は
片付けを、進めていく。
布団を畳んで、箒をかける。
酒瓶を纏め、窓を拭き、縁側の板も拭いた。
明日、晴れたら布団を干す様に槇寿郎に指示をした。
それだけで見違えるようだった。
「これで、モヤモヤした気持ちも良くなるでしょう!」
泰葉は満足気に頷いた。
一区切りついたところで、槇寿郎が口を開いた。
槇「千寿郎は…街で倒れたのか…?」
先程まで、興味ないという風に言っていたが、
やはり父親である。
様子が気になっていたようだ。
「千寿郎さんには、後でちゃんと様子を聞いてあげて下さいね。」
と、一声かけて
昼間の街での話を聞かせた。
槇「ほう。千寿郎がそんな事を。
あの子は気が弱いと思っていたが…。」
「申しましたでしょう?
あの方たちは、思っているより子供じゃないと。
私は勇敢な千寿郎さんしか知りません。」
にっこりと微笑んだ。
「さて、この酒瓶を…御勝手口まで運びましょう。」
ガチャガチャと音を立てて酒瓶が集まる。
何往復すれば良いのだろう。
ーーーーーーーー
杏寿郎達は話をしていた。
千「兄上…不思議な話、聞いてくれますか?」
何かと、杏寿郎は首を傾げる。
千「僕、眠っていた時…
金魚の精を見た気がしたのです。
赤くて、優しい女性のようでした。
とても、綺麗な声で歌ってくれたのです。」
杏「…ほう、金魚の精…か。」
千寿郎のいう、金魚の精…
それは泰葉の事だろう。
杏「兄も会いたいな…
さぞ優しい人なのだろうな。」
そんな穏やかな空気の中、
ガチャガチャ!という似合わぬ騒音が響いた。
「「!!」」
ーーーーーーーーー
動けるようになった千寿郎と、杏寿郎は急いで槇寿郎の部屋へと駆けつける。
杏寿郎は「まさか何か…」と、心配になった。
滑り込むようにして駆けつけた2人の前に現れたのは
沢山の酒瓶に囲まれた泰葉と、
両手に持てるだけの酒瓶を持った槇寿郎だった。
杏「こ、これは?」
目を丸くする兄弟。
その姿はそっくりだ。
「あぁ、ちょうど良かった!
運ぶのを手伝っていただけますか?」
泰葉は
パンっと両手を合わせて
微笑んだ