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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第52章 恋敵



〜杏寿郎視点〜

浩介殿と話す事を許した俺は、頷いたものの話の内容が気になって仕方がなかった。
泰葉さんを信じているが、絶対に自分の元に帰ってくるという確証もない。


槇「智幸殿、あの方は…」

智「…あの子は佐久間家のお孫さん、浩介くんです。
泰葉の一つ上で、私たちが泰葉を引き取った時に会いました。」


千寿郎も槇寿郎もこの展開に驚いていた。

智「…そして、おそらく彼はずっと泰葉の事を想ってくれていたと思います。」

槇「それなのに…なぜ…」


想いを告げなかったのか。


『…それは、運命がそうさせたんじゃ。』


智幸と槇寿郎の話に入ってきたのは、佐久間家のお爺さんだった。


『浩介は泰葉ちゃんを1人の女性として見てたかも知らんが、泰葉ちゃんは兄としてしか見ておらんかった。』



お爺さんの話を聞いて、浩介殿が俺よりずっと前から泰葉さんを好きだったのを知る。
まぁ、分かってはいたが。

『浩介も一度は想いを告げようとしたみたいだが…
その前に泰葉ちゃんは東京に向かってしまってな。』


もっと早く言えば良かったと思っても、その時を選んだのは浩介殿自身。
それから。なかなか泰葉さんは帰省ができず、盆と正月のどちらかだけ、この地に戻ってきた。

だが、浩介殿の用事だなんだと全く会えずに月日は経った。
…ということらしい。


『その間に、泰葉ちゃんはお兄さんと偶然出会い、偶然必要な存在であり、偶然惹かれあった。
偶然が3度重なると、それは偶然ではなく必然に変わるという話がある。』

『浩介には、残念ながらその偶然は訪れなかったというわけじゃ。
難儀なものじゃが、運命とはそういうものよのぉ。』


…偶然が必然に変わる。


それは想っている長さではない。
その2人の持ち合わせている波長が合っていたということでもある。


そう思うと、過去を知らないなど気にしていることではないのだ。


(俺は泰葉さんを1番想っている。それこそが全て。
彼女も同じであってくれれば、何もクヨクヨすることはない!)



…と思っていたのだが…

ん?


抱擁…?



…な、長くないか?



俺は極力笑顔を作っていたが、額に筋が立つのを感じた。





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