第6章 再会
さてと…と、泰葉は退室しようと少し腰を上げた。
そして、部屋を見渡す。
今まで、縁側に座り外を見ていたから、忘れかけていたが…
「これは…」
顔を引き攣らせる泰葉。
槇「ま、まさか客人と話をすると思ってもみなくて…だな…」
「この酒瓶の様子をみると、おそらくご自分の身体は限界なのでは?」
ギロリと槇寿郎をみる。
槇寿郎は、図星なため冷や汗が流れる。
「はぁ…。
まずは、お部屋を片付けましょうか。
私も夕飯のご用意まではいるつもりです。
その間にできる限りお手伝いしますので…ね?」
ね?
と可愛く傾げられたら、断るわけにもいかなかった。
「よ、よろしく頼む…」
そうして
片付けと掃除が始まった。
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杏寿郎は、千寿郎の部屋にいた。
幾分楽になった千寿郎は、起き上がり水を飲んでいる。
杏「千、体調はどうだ?」
千「だいぶ楽になりました。
朝は、体調も良く、熱も感じていなかったのですが…」
千寿郎は俯いた。
「あの方を助けようと思ったのに、倒れるなんて不甲斐ないです。」
千寿郎は、何もできずに倒れたと、悔やんでいる。
杏「千、それは違うぞ!
彼女を守ろうと、自分より大きな相手に立ち向かう事ができた!」
杏「それに、千のことを男前だと、あの男に叫んでいた!」
千「そ、そんな男前だなんて…!」
顔を赤くする千寿郎。
杏「それほど、千の勇敢な姿は彼女にとって頼もしいものだったと思う。
兄も立派な弟をもって、誇らしい!」
そう言って、二人は微笑んだ。
杏「そして、千。」
杏寿郎は穏やかな、優しい声で話す。
「この家に、新しい風が吹くかもしれん。」
目を細める杏寿郎。
その様子に
千「兄上…あの女性とやっぱり何か…」
杏「ん゛ん゛!!
千寿郎、何か誤解をしているようだ!
あの時見たのはそういう類ではない!」
あたふたと、みたらし団子事件の真相を話したのだった。
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