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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第52章 恋敵



杏寿郎は泰葉の寝巻きの合わせに手を滑らせる。

「えっ!」

驚いている間にするっと脱がされ、上半身は裸の状態になってしまった。
慌てて胸元を手で隠す。

「直接って、そういう⁉︎」

杏「だめだろうか…」

しゅんと上目遣いで聞いてくる杏寿郎。


「う…、杏寿郎さん、私がその顔に弱いの知ってるでしょう。」

杏「む。そうなのか?では、頼み事はこの顔をしよう。
…でも、今は直に体温を感じたい。大丈夫。致すつもりはないさ。」

そう言って杏寿郎も上半身を露わにさせた。

杏「求婚を受け入れてもらった…までだったならば、我慢できずに抱いていたかもしれんがな。」


ふっ、と笑って柔らかく抱きしめる杏寿郎。
泰葉の目の前には杏寿郎の鎖骨が見える。

トクン、トクンと規則正しく音を立てる杏寿郎の心臓。

この音が何度も消えてしまいそうになったことだろう。
初めて会ったあの日もそうだった。
彼のこの鼓動は一度止まりかけた。


今こうして愛しい彼の体温を感じ、鼓動を聞くことができるだけで幸せなのだと噛み締める。



それは杏寿郎も同じだった。
初めて人を愛し、こうして存在を確かめ合える。
自分の愛を受け止めてもらえる。
それがどれだけ嬉しいことだろうか。


杏「…生きているんだな。」

「そうよ。ちゃんと心臓も動いてる。身体もちゃんと温かい。」

杏「君の鼓動も聞きたい。」

杏寿郎はもぞもぞと下に移動し、泰葉の胸に耳を付ける。

トントントンと鳴る鼓動。


杏「む?ちょっと鼓動が早い気がするが。」

「それはそうでしょ!こっちはドキドキしてるんだから!」


顔を赤くする泰葉が心底愛しい。

杏「全く君という人は…」

困ったようにクスッと笑った杏寿郎は、胸の谷間に顔を埋めた。

杏「今日はこのまま寝る。おかしな話かもしれんが、とても落ち着く。」

「えっ、このまま?…ちゃんと寝てくださいね?」

杏「よもや、誘われているとは…「違います。」


泰葉は恥ずかしかったが、今日はいいかと杏寿郎の髪を撫でた。
短く、ふわふわな髪。
指が項に触れると、ピクッと跳ねた。

杏「やはり…「失礼しました、おやすみなさい。」



次第に泰葉の脈も落ち着き、本当にそのまま2人は眠りについた。





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