第52章 恋敵
居間にいくと、既に智幸と槇寿郎は始まっていた。
智「おぉ!早く座りなさい!ほら、杏寿郎君も呑んで呑んで!」
槇「杏寿郎、きちんと西ノ宮家の皆さんにご挨拶してきたか!」
少々頬を赤らめた2人。
まあまあに出来上がっているようだ。
花「さぁさぁ、食べましょう。
明日は昼の列車よね?楽しい時はあっという間だわぁ。
佐久間家のお爺様には明日会いに行く?」
あ…、と顔を見合わせる杏寿郎と泰葉。
「実はね、帰り道会えたの。」
花「あらそう!あ、だからあんなに野菜を沢山貰ってきたのね。」
「うん、あと…こうちゃんにも。」
浩介に会ったというと、少し花枝の目が泳ぐ。
杏寿郎は両親も彼の気持ちを知っているのだと理解した。
花「そう…。浩介くんも変わらないでしょう?あのまま大きくなったって感じ。」
「うーん…でも、ちょっと分からなくなったかも。
杏寿郎さんにも怖い顔しちゃって。優しい人なのに。」
花枝は浩介と杏寿郎の間に何があったかを悟った。
智幸も酔いながらも杏寿郎たちの様子を伺う。
杏「大丈夫、私は浩介殿と分かり合えると思っています!」
そう言って杏寿郎は猪口に注がれた酒をくいっと呑んだ。
そこからは楽しく食事が進む。
智「しかし、祝言まではどのように進めましょう?」
槇「そうですな。なるべく早い方が良いとは思うのですが。」
父達は、祝言までの段取りを話し始める。
記憶にちゃんと残っていると良いのだが。
千「いよいよ祝言へと進むのですね!
僕、祝言というものは初めてで。どんなものかドキドキします!」
「そうね!周りで祝言を上げる人もいなかったものね。
いつか、千寿郎くんもそんな日が来るのでしょうね!」
千「ぼ、僕ですか⁉︎いやー…どうでしょう。
そうだと…良いなとは思いますけど。」
千寿郎は来年の春から学校に通うこととなっている。
鬼殺隊が解散すれば、杏寿郎も含め好きなことができるのだ。
千寿郎は1番に何がしたいかと聞かれ、「学問を学びたい」と望んだ。
ちなみに槇寿郎と杏寿郎は剣術道場を開き、教える立場に就こうとしている。
泰葉は以前の職業を生かし、習いに来る生徒の子供や兄弟達を面倒見る、いわば託児所を開く予定だ。