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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第52章 恋敵



〜杏寿郎視点〜

まさか求婚に良い返事をもらい、浮かれている気分でこんな事になるとは思っても見なかった!


間違いなく浩介殿は泰葉さんのことを好きだ。
しかも、ずっと想っていたのだろう。
彼からの殺気で分かる。


浩「杏寿郎くん…だっけ?君、剣技ができるの?」


これは…どこまで話すべきか。
鬼殺隊を知っていれば話は別だが…。

杏「浩介殿は鬼の存在をご存知で?」

浩「そりゃ、ここに住んでいればね。
それに泰葉のことに関しては粗方知っているし。」

それは俺の知らないこの地での泰葉さんを知っている、と言いたいのか?


杏「私は、その鬼を滅するための組織、鬼殺隊に属しておりました。今は鬼の始祖を討ち、組織は解散しましたが。」

浩「鬼殺隊…」


まぁ、政府非公認組織だ。
鬼殺隊を知らずとしてもおかしくはない。
詳しく説明しようかと思っていると、彼の口から意外な言葉が返ってきた。


浩「…鬼殺隊に俺も入ろうと思ったんだ。」

杏「む?」

彼も鬼殺隊に入ろうと?


浩「泰葉の家族達が殺されて、笑顔を奪って…。
そんな存在許せなかった。
だから、鬼殺隊と呼ばれる鬼狩りに入れば、俺が仇を討ってやれるんじゃないかって。」


自分の身内じゃない人のために鬼殺隊に入ろうとまで…。
泰葉さんへの想いはそれ程に大きいということか。


浩「鬼殺隊に入るには呼吸を身につけないといけないって言われて、自分で育てを見つけて頼み込んだ。その人は水の呼吸の使い手だった。」



…どこまでも冨岡を連想させる人だな。



浩「…でも、俺は鬼殺隊になれなかった。
一応呼吸は身につけて、水の呼吸は使えるようになったんだ。
最終選抜の前にこれから目にする鬼の存在を知らねばならぬと、育てと一緒に夜の外へ出た。」

「だけど、そこで目にしたのは想像よりも、ずっと恐ろしい存在で。
呼吸を身につけても、ピクリとも動けなくなってしまったんだ。
育てが斬ってくれなかったら俺は死んでいた。」


浩介殿の手を見るとカタカタと震えるほど、強く握られた拳。
よほど、自分の不甲斐なさに後悔しているのだろう。


浩「それが泰葉が選んだ人が、鬼殺隊の男だってな。
ますます、俺は情けない。」


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