第51章 誓い
智「杏寿郎くん、お願いがあるんだ。」
杏「なんでしょう?」
3本目が始まろうとしている時、智幸が杏寿郎に話しかける。
智「僕に…
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杏「本当に良いのですか?」
智「あぁ!こんな機会は滅多に無いからね!!」
槇「では、始め。」
2人はまた構えを取る。
今度は躊躇なく斬りかかる智幸。
抜刀の形から一気に振り上げる。
杏寿郎の目の前を掠め、そのまま切り返し振り下ろした。
その瞬間、杏寿郎の目と呼吸法が変わった。
(…まさか…)
——炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天!!——
杏寿郎の木刀がそれに対抗するように下から昇る。
ゴォっと炎が上がるような威力。
この威力が木刀から出ているとは到底思えなかった。
それは木刀の中心を捉え、
智幸の木刀は呆気なく弾かれた。
カランカラン…
綺麗に智幸の手から木刀だけが消えていた。
槇「一本。杏寿郎。
よって杏寿郎の勝ち。」
智幸の頼みとは、
「呼吸を使って欲しい。」
杏寿郎はそれだと不公平では…と言ったが
智幸は、呼吸も杏寿郎が苦労して習得した力。
それが杏寿郎の実力に変わりはないと。
智「うぉー!やっぱりすごいな!!」
興奮気味の智幸。
千「だ、大丈夫でしたかっ⁉︎」
千寿郎が智幸に心配して駆け寄る。
智「あぁ!大丈夫だよ!
やっぱり違うなぁ!これが炎柱の炎の呼吸かぁ!」
杏「何も、呼吸なら3本勝負が終わってからでも…。」
智「いや!どのみち僕が負けていたよ!
杏寿郎くんとの手合わせの中、力の違いを感じた。
だから、最後は惨敗したかったんだ!」
智幸は清々しく笑っている。