第50章 列車の旅
智「もしかして狭いかな?
ごめんね、もっと広いのが欲しいところなんだが。」
後ろを気にして智幸が話しかける。
杏「いえ!全く問題ありません!!」
そう答える杏寿郎に泰葉と千寿郎はじとっとした視線を投げた。
もう少しずらさせてくれれば十分ゆとりをもって座れるのに、杏寿郎が泰葉を引き寄せるので、何故か狭くなっていたのだ。
ぴったりと身体を寄せて時折揺れると、杏寿郎の身体と擦れてなんだか恥ずかしくなってしまう。
色々と紹介したいのに、もう早く着いてくれと願わずにいられなかった。
「そうだ!お父さん、後であの場所に皆さんをお連れしたいのだけど!」
智「あぁ、あそこだね。そうだね…明日にでもお母さんも連れて、お連れしようか。」
「はい!」
ーーーーーー
智「ここが我が家です。」
智幸が車を駐車し、案内する。
立派な門構で、煉獄家には及ばないが
一般人にしては立派な日本家屋であった。
槇「綺麗な松ですな。」
智「ありがとうございます。これは唯一私が手入れしている趣味…というべきですかね。」
塀から顔を覗かせる松を槇寿郎はほぅ…と感動していた。
…松お好きなのかな?
門をくぐり、玄関を開け智幸は声をかける。
すると、花枝がパタパタと駆けてきた。
花「お待ちしておりました。
さ、どうぞ上がってください。」
槇「ありがとうございます。
では、上がらせていただこう。」
槇寿郎に続き、杏寿郎、千寿郎が上がっていく。
泰葉は1番最後に皆の履き物を揃えて上がった。
客間に通され、花枝がお茶を出す。
花枝が座ると、泰葉はその隣に座った。
智「では、改めまして。
皆さん、ようこそいらっしゃいました。
ご足労いただき感謝いたします。」
智幸らが頭を下げると、煉獄家も頭を下げた。
槇「いえ、こちらこそこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。」
智「…と、まずは決まった挨拶をしたけれど、ここからは気楽にいこう。堅苦しいのは得意じゃなくてね。
皆さん、列車はどうでしたか?」
千「はいっ!とても楽しかったです!
途中で眠ってしまったのが悔やまれます。帰りは起きてなくては!!」
花「ふふ、列車に揺られてると不思議に眠くなってしまうのよね。」