第6章 再会
鬼殺隊隊士には、『呼吸』を使える者が多数いる。
煉獄家は、炎の呼吸を使い、代々炎柱を務めてきた。
鬼殺隊の目的は、鬼を滅すること。
鬼舞辻無惨という、一番最初に鬼となったものを滅すること。
しかし、その書には
『始まりの呼吸』とされる、日の呼吸があり、
炎、水、風、岩、雷などの呼吸は、派生したものである。
つまり、日の呼吸こそが最強で、その他は劣化版であると書かれていたのだ。
槇寿郎はそのことに酷く打ちのめされた。
どれだけ心を燃やそうと、日の呼吸には敵わない。
自分の力では、鬼舞辻を倒すことは敵わない。
そう思った。
柱としての自信をなくした槇寿郎に
さらに追い討ちがかかる。
最愛の妻、瑠火が病気で亡くなってしまったのだ。
元々、体は強くはなかった。
しかし、こんなに早い別れになるとは思ってもいなかった。
自分もいつか、炎柱になりたいと
鍛錬を行う息子たちを見て、辛くなった。
努力を踏み躙りたくない。
しかし、炎の呼吸では勝てないと
知ってしまった以上、
死なせたくない。
という気持ちが強くなってしまった。
槇「死ぬことが分かっているところに、送り出す親はいないだろう。」
そして、槇寿郎は自分で気持ちを制御できず
酒に逃げた。
柱も引退し、息子への指南も放棄して、自分の代で炎柱も終えようとした。
しかし、杏寿郎は独学で呼吸を習得した。
そして柱まで上り詰め、列車の後の戦いで、生死を彷徨った。
それはそれは、怖かった。
息子まで失うのではと。
槇「…という、なんとも情けない話だ。」
泰葉は、胸が痛くなった。
『煉獄』
という名前には、あまりにも重いものがのしかかっている。
槇寿郎は、最初は誇りがあったからこそ、それに耐えられた。