第49章 体温 ❇︎
「…ん…」
泰葉が目を覚ますと、ぼんやりと薄暗い部屋。
まだ夜明け前のようだ。
寝返ろうとすると、体がしっかりと固定されている。
「…?」
自分の身体を見ると、身体を固定しているのは杏寿郎の腕。
同じ布団で後ろから抱きしめられていた。
それは綺麗にはなっているが、服も着ていない状態。
泰葉は昨夜のことを一気に思い出した。
「…〜〜っ!!!」
(でも待って…⁉︎途中から覚えて…え?どこからどう…)
「朝から考え事か?」
短くなった髪から覗く項に、愛しい人の吐息がかかる。
それだけでぞわわっと肌が粟立つ。
「ひぅっ!」
杏寿郎の右手がするっと滑り、キュッと泰葉の右胸の蕾を摘んだ。
「朝から敏感だな…。
愛する人の望みとあらば、答えてやらねば男の恥だな?」
「えっ、望んでなんて…きゃっ!」
後ろから杏寿郎のモノがぐりぐりと押しつけられる。
「望んでないのか?
…残念だ。俺はいつでも君を感じたいというのに。」
そう言って優しく身体中を弄り始めた。
「んん…杏寿郎さん、もう…朝よ?」
「朝だと愛し合ってはいけないのか?」
「そういうわけじゃないけど…。
そろそろ皆さん起きて来るし…。」
なかなか首を縦に振らない泰葉に杏寿郎が痺れを切らす。
「ならば、君を素直にさせてやろうな…。」
トサッと泰葉を仰向けにさせた杏寿郎。
その瞳は寝起きとは思えないほど力強かった。
今日は泰葉の両親が帰る日。
朝から食事の用意をして、お昼前には出ていってしまう。
その前に手土産も持たせたい。
…私の体力は持つだろうか。
まだ治癒の力は残っているようで幸い体に痛みはない。
それに何度も肌に咲いた赤い花は、口付けるたびに消えていた。
大丈夫…かな。
杏寿郎がいざ乳房に手をつけようとした時。