第48章 おかえり
花「お母さん達、槇寿郎さんとお手紙のやりとりをしててね。
近々大きな戦いに出ると聞いたの。
貴女達はきっとそんな心配を煽るようなこと、言ってくれないと思って。」
智「それで、大事な娘が命を賭けて戦うというのに、遠くから祈るだけなど…耐えられなかったんだ。
以前、こちらにお邪魔した時も槇寿郎さんと話して、もし力になれる事があるならいつでも呼んで欲しいと頼んでいた。」
槇「ご両親まで、巻き込んでしまってすまなかった。
しかし、俺も親の身。ご両親の気持ちが痛いくらいに分かる。
だから、蟲柱が来て作戦を伝えて行った時、護衛ならばと呼びつけたのだ。」
両親と槇寿郎が事の成り行きを話してくれた。
その話を聞いて、泰葉の目には涙が溢れる。
「…っ、ありがとう、ございます…」
智「親ならば、子の力になりたいと思うのは当然だよ。
…こうして、みんなで帰ってきてくれたことが本当に嬉しい。」
肩を震わせ泣いている泰葉の背に杏寿郎の手が添えられる。
千寿郎は自身も泣きながら、泰葉にハンカチを渡してくれた。
千「以前、僕にハンカチを渡してくださいました。
今日は僕の番です。」
そう言って微笑む姿も、杏寿郎の手も本当に暖かい。
「うぅ…皆さん、本当にありがとう…」
しばらく、皆で無事にこうしていられることを噛み締め
喜びに浸った。