第48章 おかえり
そして、またパタパタと駆け寄ってくる足音。
…?
誰だろう?
「泰葉!杏寿郎くん!お帰りなさい。」
「無事で…何よりだよ!」
「お、お母さん⁉︎お父さん⁉︎」
泰葉は目を見開き驚愕する。
何故目の前に両親がいるのだろうか。
槇「ここで話すのもなんだ。
とりあえず中に入りなさい。」
杏寿郎は羽織と日輪刀を千寿郎に手渡す。
これも今まで千寿郎が出迎えた時には欠かさなかった事。
これが最後だと思うと、杏寿郎も千寿郎も感慨深いものがあった。
千「兄上、永きに渡る戦い、お疲れ様でございました。」
千寿郎はパッと杏寿郎の顔を見上げ、にこやかに笑う。
しかし、その瞳には涙を溜めていた。
杏「あぁ。ありがとう。」
杏寿郎は千寿郎の頭を数回撫で、微笑んだ。
その光景に、泰葉も槇寿郎も両親も心が和んだ。
杏「また話はゆっくりしよう。
さ、ご両親を待たせている。中に入ろうじゃないか!」
杏寿郎に続いて泰葉も草履を脱いだ。
隊服のまま居間へと入り、泰葉は杏寿郎の少し下がって隣に座る。
2人の目の前には槇寿郎、千寿郎、両親の4人が並んで座った。
改まった空気になり、泰葉と杏寿郎は背筋を伸ばす。