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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第6章 再会



すー…
すー…


千寿郎の寝息が聞こえる。

あれからしばらく経ち、また呼吸が落ち着いてきた。



泰葉は桶の水を変えようと、中庭の井戸に来た。

煉獄家は広く、すぐに迷子になってしまいそうだった。



バシャーッ


桶に水を入れて、持ち上げる。
こぼさないように気をつけて歩いていると、視界の先で襖が開いた。


「誰だ…お前は…」


杏寿郎が少し歳を取り、目を細くきつくして、無精髭を生やした…というような男性が立っている。

槇寿郎だ。


泰葉はここの当主であると察した。

慌てて、中庭の土の上で膝をつけ、桶を脇に置く。
三つ指をついて、頭を下げた。

その姿にギョッとする槇寿郎。


「ご挨拶もせず、勝手にお邪魔をして申し訳ございません。
私は、街でこちらの御子息様達に助けていただいた者です。

千寿郎さんが、熱を出されて倒れられたため、
共にこちらに来て看病をさせていただきました。」



槇「やはりな、全く愚息どもが。」


泰葉は耳を疑った。
杏寿郎達の身内と考えられない言葉。
あんなに心優しく、勇敢な息子達を
『愚息』と言った。

泰葉は顔を上げ、槇寿郎を真っ直ぐに見る。

槇寿郎は酔っていた。
しかし、いくら酔っていても、父親のいう言葉では無い。

「失礼ですが…」

と言いかけた時

杏「父上!これはどういう事ですか!」


杏寿郎は水を汲みに行ったにしては、戻りが遅いと見に来たのだ。


槇「コイツが勝手にした事だ。頭を下げろとは言っておらん。」

杏「…っ、この女性が、俺の命を救い、今日も千寿郎を助けて下さった、西ノ宮泰葉さんです!」



そう言われて、槇寿郎は目を見開き、口を開けた。

泰葉は、その反応を不思議に思ったが、
それよりも、この父親らしからぬ口ぶりと、態度に頭にきていた。


杏「泰葉さん、どうか父を許してやってくれ。
最愛の母を亡くされてから、心を痛めておられるんだ。」

杏寿郎が頭を下げる。


最愛の妻を亡くした。
それはさぞ辛かろう。


第三者が立ち入る事ではないが、それにしても酷すぎる。



「いいえ!
ご家庭のことに第三者が首を突っ込むべきではないと、重々承知の上!
少しお話をさせていただいても宜しいでしょうか!」



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