第6章 再会
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〜千寿郎視点〜
「赤い金魚
なぜなぜ赤い
赤い花を
摘んだから」
優しい声が聞こえる…
少し目を開けてみると、
赤い着物をきた女性…
熱のせいで涙が滲み、顔が見えない…
金魚の…精…なのかな
あぁ、もう少し見ていたいのに。
「ん…」
目を覚ます。
ここは…自分の部屋だ。
布団に入って、額にはぬるくなった手ぬぐいが当ててある。
体の怠さはあるが、熱は下がったようだった。
ゆっくりと起き上がってみる。
水差しとコップが置いてあったので、注いで飲み干す。
「兄上が運んでくれたんだな…」
女性を助けようとしたのに、何もしないまま倒れただなんて。
とりあえず、兄上に起きた事を伝えよう…
まだフラつく足取りで、杏寿郎がいるであろう居間へと向かう。
…………。
居間からは兄上の声と、女性の声…?
もしかしたら、あの時の女性がいるのかも!
ならば無事でよかった!
嬉しくなって、少し足取りも軽くなる。
そして、居間の入り口に来ると、
「違います、…ここ。」
と、兄上の顔に手を伸ばす女性
ちゅ。
…………!
そして、顔を真っ赤にしている2人!!
いけないところに来てしまったのでは⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎
ボンッ!
僕の身体は、またすごく熱くなって…
立っていられなくなった…。
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杏寿郎と、泰葉は慌てて千寿郎に駆け寄る。
「せ、千寿郎くん⁉︎大丈夫⁉︎」
杏「しっかりするんだ!
今運ぶからな!」
杏寿郎が、千寿郎を横抱きにして
また部屋へと運ぶ。
千「…ん、から。」
千寿郎が何かを言っている。
杏「辛いか?今寝かせてやるからな!」
千寿を降ろし、布団に寝かせる。
泰葉はまた母を呼んでいるのかと思い、
千寿郎の手を握る。
千「僕…何も…見てません…から。」
!!!!
杏「よもや!それで熱をぶり返したのか!」
「…………すみません…」
泰葉は12歳の少年に、気を遣わせる事態に
顔を茹蛸のようにして、俯いた。