第46章 希望の光
「はぁ…」
泰葉も堪らず仰向けに寝転んだ。
空は段々と青く眩しいくらいの光を放つ太陽が身体を暖める。
生きてる…
私も、皆も。
珠世のさんだけは…
失ってしまったけど…。
きっと、来世にはまた家族でいられるかもしれない。
「ありがとう、珠世さん。」
し「本当に。あの人には頭が上がりません。」
しのぶが泰葉の顔を覗き込んで微笑んでいた。
そのまま泰葉の隣に座り、空を見る。
「今夜から…皆さんどうするの?
急に、暇になっちゃったね。」
ふっと冗談半分で聞いてみる。
し「私たちは、しばらくは隊士達の身体に異常がないか見なくてはならないので、暇ではないですが…他の方々はどうなんでしょうね。
冨岡さんとか。」
くすくすと笑うしのぶ。
「確かに…」
しのぶは寝転んで地面についている泰葉の髪に触れた。
し「ごめんなさいね。」
「ううん、気にしないで。髪は伸びてくるから。」
泰葉の髪に含まれる壊死の効果は少量でも十分だった。
しかし、予想よりも無惨の体内へ巡るのが遅く、また柱達が劣勢になるのが早かった。
だから、泰葉が身の危険を晒し、髪も短くさせてしまった事にしのぶは胸を痛めていた。
し「でも、泰葉さんがあんな風に挑発するとは思わなかった!」
「はは…でも…「本当に!」
泰葉の言葉を遮るようにして上から顔をのぞいてきたのは杏寿郎。
杏「俺が気を失ったままだったらどうしていたんだ!
喰われていたかもしれない!!流石に気がついた時には肝が冷えた!!」
まさか、喰われることを覚悟していた…とは言えず、できる限り自然に微笑んで
「だって、そうならないように守ってくれるって言ってたでしょう?」
と、返す。
杏「むぅ!ま、しかしこうして生きている!この話は終いだ!」
後を濁さず…。
杏寿郎のいい所。
泰葉はむくりと起き上がり、自分の髪を撫でた。
「杏寿郎さんより短くなっちゃった…。
男の子みたいね。」
へへっと笑う泰葉。
杏「嫌か?」
「杏寿郎さんが嫌じゃない?」
隣を歩く男より短い髪で歩いている女など。
杏寿郎はふむ、と泰葉を見つめて、ニコッと微笑んだ。