第46章 希望の光
炭治郎の鼻に藤の花の匂いが掠める。
目を開けると沢山の藤の花が咲き広がり、そこから禰󠄀豆子の手が差し出され、炭治郎の手を掴む。
「お兄ちゃん、帰ろう。」
それに無惨は慌てふためく。
『手を放せ!!こっちに戻れ!!
太陽すら克服したというのに!
お前は類稀なる生物なのだ。
そっちに行くな炭治郎!!』
「愛を知らずに可哀想…」
炭治郎と無惨の前に一人の女が現れた。
燕脂の着物を身に纏い、金色の中を泳ぐ金魚の髪飾り。
泰葉さん…?
『貴様!貴様のせいで計画が狂った!
私が最強にならなかったのは貴様のせいだ。』
「貴方も愛されること、愛することを知れば
幸せだと思えることがあったでしょう…。
貴方にはそれがありましたか?」
「炭治郎くんは皆に愛され、皆に愛を与えてくれる。
貴方とは違う。近いようで遠い存在。
彼は返してもらいます。」
泰葉がそういうと、沢山の手が炭治郎の手を取る。
グッと泰葉が炭治郎の身体を押し、上がっていく。
「絶対に負けるな」
「こっちだ炭治郎。」
「帰ろう、家に帰ろう…」
カナヲ、伊之助、善逸、玄弥、柱達。
杏寿郎の手がもう一本、泰葉の手を掴んだ。
『炭治郎!!炭治郎行くな!!
私を置いて行くなアアアア!!!』