第6章 再会
………?
泰葉はその視線に居た堪れなくなり、杏寿郎をチラリと見る。
杏寿郎は2本目を食べ終えて、串を持ったまま、じっと泰葉を見つめている。
…どうしたのかな?
もしかして、もう一本食べたいのかな?
でも、きっと私に取り分けた手前、欲しいって言えないのね。
そう思った泰葉は
「もしよかったら、これ…どうぞ?
まだ手は付けていないから、綺麗なままだと思うの。」
団子の乗った皿を差し出す。
杏寿郎はハッと我にかえって
杏「いや!違うんだ、ただ…君があまりに幸せそうに食べるので、
団子の宣伝か何かかと…」
「あ。」
杏寿郎は、言い訳のような言葉をズラズラと話し始めたが、泰葉の声が遮った。
「みたらしが…付いてますよ?」
泰葉が、自分の口の横に指をトントンとして場所を教える。
杏寿郎は、それを参考に自分の指で拭おうとするが、どうやら場所がずれてしまっているようだ。
杏寿郎は、客人の前でみたらしを付けるなんて…と恥ずかしかった。
なかなか拭えない杏寿郎に痺れを切らし、泰葉が杏寿郎の顔に手を伸ばす。
「違います、ここ。」
泰葉の白い指が、杏寿郎の口元に触れ、
みたらしを拭った。
そして
ちゅ。
舐めた。
…………。
え?
え?
2人はボンッと顔を赤くした。
泰葉は俯き顔を両手で隠し、
杏寿郎は前を見据えたまま、固まった。
杏(よもやよもや!何があった?俺の顔のみたらしを、泰葉さんが舐めた…⁉︎)
(あぁぁぁぁぁぁぁ!やってしまった…。いつもは1人で食べて、人目を気にしないから、つい癖で…なんて礼儀のない奴と思われたに違いない…)
ドサッ
「「 ⁉︎ 」」
部屋の入り口に倒れていたのは、
顔を真っ赤にした
「「千寿郎(くん)ーーーーーーーー!!」」