第45章 喰らえ
トドメを刺せなかったにしても、確実に足止めにはなった。
鴉が後30分だと告げる。
無惨は走ることをやめた。
そして、腕がボコボコと膨らみ始める。
炭「無惨が分裂しようとしている!バラバラになって逃げる気だ!」
「!!!!」
慌てる泰葉達を他所に、一人冷静なしのぶ。
し「できませんよ。」
無惨の腕は確かに膨らみが落ち着いてきた。
無惨の中で珠世が囁く。
「お前に打ち込んだのは
人間戻り
老化
分裂阻害
…そして、細胞破壊。
さあ、泰葉さんの力が強まってきましたね。
もう少しでお前の大嫌いな死が迫ってくる。」
「お前が生きるために手段を選ばないように、
私も…私たちもお前を殺すことに手段を選ばない。」
無惨はこの薬達の分解には時間がかかりすぎると悟った。
そして、なぜか動かなくなった。
小「今だ!」
炭「ヒノカミ…」
動きが止まった隙に無惨に致命傷を与えようと斬りかかる炭治郎と小芭内。
しかし、無惨の上半身が突如巨大な口のように裂けた。
「何⁉︎みんな!無惨から離れて!!!」
バリ、バリバリ!!!!
いきなり雷のような衝撃波が放たれた。
杏寿郎と小芭内、しのぶ、泰葉は距離をすぐに距離をとった為、吹き飛ばされるだけに留まったが、炭治郎は体を貫かれてしまった。
炭治郎の肺は潰されて、呼吸困難になる。
この衝撃波はこの戦いの指揮を取る産屋敷一族と、鎹鴉にも襲いかかっており、指揮系統を妨害するまでに至っていた。
槇「輝利哉様!!!」
護衛をしていた槇寿朗と天元も驚きが隠せない。
その隙にまた無惨は逃げようとする。
伊「ふざけるなぁア!!!」
無惨の前に立ち塞がったのは伊之助。
伊「お前が奪った仲間たちの手、足、命を返せ!!!
できないなら、100万回死んで償え!!!!」
伊之助は涙を流し、無惨に訴えた。
無惨は地面に腕を突き刺すと、伊之助の足元から手にある大きな口を開けて喰らい付き、ギチッと捕まってしまった。
善「伊之助踏ん張れ!!炭治郎は生きてる!!」
「炭治郎!!お前は死なない!!
人間に戻った禰󠄀豆子ちゃんと帰るんだ!!
生まれ育った家に!!家族みんなで待ってる!!」
炭治郎は善逸からの檄に力を振り絞り、自分の刀を痙攣が止まない身体へと突き刺した。