第44章 命あってこそ
鬼舞辻無惨との戦いは泰葉のおかげで柱全員が立ち向かうことができていた。
ここまでくるのに身体は無傷に近い状態で臨めるのは大きなことだ。
しかし、さすがは鬼の始祖。力も殺傷能力も桁違い。
鬼舞辻無惨の体内には、心臓7つと脳5つ。
しかも身体全体に口のようなものが現れ、強い吸息により引き寄せられる。
背中からは9本もの管のような…触手のようなものが生えていて、先端には鋭い爪もある。
その攻撃を受けると無惨の血を入れられて、ボコボコと毒となり爛れて行く。
この毒は泰葉の飴ではどうにもならなかった。
そして、飴の効果も有限。殆どの柱、隊士の飴は尽きてきてしまった。
——炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!!——
——水の呼吸 捌ノ型 滝壺!!!——
——蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞 百足蛇腹!!——
——霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消——
——蛇の呼吸 参ノ型 塒締め——
——風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐——
——岩の呼吸 壱ノ型 蛇紋岩・双極——
柱達が総力を上げて攻撃を仕掛けていくが、無惨の再生速度が速く、なかなか厳しい戦いとなった。
蜜璃は首元に傷を負い、隠によって治療を受けていた。
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「ん…」
あれ…ここは⁉︎
ドゴォ、ガンッ!!!!
けたたましい音が鳴り響く。
そうだ!地上に出てきて…!!
泰葉すくっと立ち上がった。
グッと拳を握ると、体の痛みが消えている。
「傷…治ってる…。」
寝転んでいた場所に目をやると無造作だが、頭の下に敷かれていた杏寿郎の羽織。
杏寿郎さんが…。
泰葉は羽織を握りしめ、みんなの元へと走った。
「!!!!!」
泰葉が見たのは悲惨な現状。
皆、体力の限界は越え、体には爛れたような傷がある。
何…?何なの…?
あの爛れは一体…⁉︎
広場の真ん中には無惨の姿。
それは得体の知れないものだった。
杏「泰葉!!!」
杏寿郎が泰葉を呼ぶ。