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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第6章 再会



杏寿郎に気づいた泰葉は、唇の前に人差し指を立て、静かにするよう促した。


杏寿郎はその姿が艶っぽく見えて
ドクンドクンと心臓が鳴った。



美しい。




杏寿郎は悟られないように、静かに座り、手ぬぐいを濡らす。
汗を拭ってやり、絞り直した手ぬぐいを額に当てると、幾分落ち着いたように見えた。



「赤い金魚
なぜなぜ赤い

赤い花を
摘んだから」


泰葉は唄い始めた。
囁くような、優しい声で。


少し細めた目で、千寿郎を見ている。

白い指で髪を梳き、
握った手は指でトントンと拍子を取る。


その姿は幼子を寝かしつける
母親のようだった。


「赤いお日様
なぜなぜ赤い

赤い金魚を
好いたから」


一瞬千寿郎の目が薄く開いて、泰葉と目があったように思ったが
また閉じていった。



しばらくすると、千寿郎の息も深くなり

だんだんと寝息に変わっていった。


落ち着いた頃を見て、杏寿郎と泰葉は部屋を出ていった。





ーーーーーーー

居間へと移動し、杏寿郎は泰葉にお茶を出す。


杏「…突然、申し訳なかった。
しかし、ありがとう。今日一日共に行動していたのに、熱があることに気がつかなかった!不甲斐ない!」

杏寿郎は頭を下げた。


泰葉は頭を振る。
「気にしないでください。」

「それに、私は貴方達に救われた身ですから!」


杏寿郎は街でのことを詳しく聞いた。




杏「やはり、あの男はロクでもないやつだったんだな!

…それにしても、君も勇敢だな!
女子1人で男に立ち向かうとは。」


「だって、お婆さん1人で頑張っているのに、巻き上げようなんて酷いと思って。
それに、周りの人も見て見ぬふり…、それじゃお婆さんがあんまりだわ!」


泰葉の正義感の強さに驚かされる。



「それに」


「私より勇敢で、優しい人が助けに入ってくれるって思ってたわ!」

泰葉は、花を咲かせたように笑った。


杏寿郎は、ポンっと音がしたのではと思うほど、自分の顔が赤いのを実感している。


「そうしたら、本当に2人も来てくれた。まさか、あなた方だとは思ってもいなかったけれど…」



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