第43章 仇と執念
しのぶも、カナヲも、伊之助も.。
あいつのせいで悲しい思いをしている。
絶対に仇をとらせてやりたい!!
——冬ざれ氷柱——
泰葉は氷柱を飛び越え、扉と童磨の間に立つ。
『おやおや。』
「行かせない。貴方にたとえ喰われようと。」
『自分から喰われに来るなんてね。』
童磨が泰葉に手をかけようとしたその時、童磨の視界がグルンと回った。
泰葉は思わず顔を顰めた。
なぜなら、童磨の顔が溶け左目が飛び出してズル…と垂れていたからだ。
『顔が…溶けてる…?』
すると、童磨の後ろにしのぶが降り立つ。
し「泰葉さんのお味はどうです?これは分解できないでしょう。
本当は貴方には私の体重37キロ分の毒を喰らわせるつもりでした。
でも、優しい泰葉さんに感謝してくださいね? 髪の毛2本分でその威力。
おかげで、私も貴方なんかに喰べられずに済みました。」
しのぶは藤の毒と、泰葉の力に賭けるしかなかった。
しかしそれで100%倒せる保証もない。
一番確実なのは頸を斬ること。
「必ず私と泰葉さんで鬼を弱らせるから、カナヲが頸を斬ってトドメを刺してね。」
それが、しのぶとカナヲの作戦だった。
童磨が膝をついて苦しがると、童磨の分身たちがピシピシと音を立てて崩れていった。
今だ!!
伊「往生しやがれ、ド腐れ野郎!!」
焦った童磨は頸を斬られまいと血鬼術を放つ。
——血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩——
泰葉達の前に巨大な菩薩が現れた。
ドゴンッ
菩薩が辺りを凍らせながら振り下ろされる手刀は、高い威力をもっていた。
氷の粉が舞う。
これを吸ってはいけない。
全員息を止め、どうするかを考える。