第43章 仇と執念
あまりに細かく、素早く向かってくる花弁をしのぶの刀では防ぎきれない。カナヲの刀も離れた所に置かれてしまった。
これは私にもどうにもできない…
攻撃を受けるしかない、と目を瞑った時、天井がメリッと音を立てる。
「ドォリャアアア!!!!
天空より出し伊之助様のお通りじゃァァ!!」
⁉︎⁉︎
これには3人も、童磨でさえも目を丸くした。
——獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂き——
伊之助の攻撃は花弁を一掃してくれた。
「伊之助くん!!」
しかし、伊之助は指で輪を作り、童磨をじっと見ている。
伊「弐!!テメェ!上弦の弐だな!!
バレてるぜ!!テメェが上から2番目だって事を俺は知ってる。
ハハハーァ!テメェを倒せば俺は柱だ!!」
……。
『別に上弦の弐だってことは隠してないけど…
面白い子が来たなぁ。』
伊「俺が柱になったら呼び名は野獣柱…いや猪柱か⁉︎」
「どっちが良いと思う?おい…」
伊之助が振り向くとボロボロのカナヲ。
そして少し離れたところにしのぶと泰葉。
泰葉の左腕がぶらんとしているのに気づいた伊之助はギョッとする。
伊「お前!お前が怪我したらアレだぞ!
ギョロギョロ目ん玉が怒るぞ!!
ああいうやつが怒った時が一番怖ぇーんだからな!!!」
し「そうですね…、伊之助くん。
私たちも長くは戦えそうにありません。
力を貸してくださいますか?」
蝶の羽織もボロボロになったしのぶ。
あちこち傷だらけのカナヲ。
左腕を痛めた泰葉。
伊之助はその姿を見て怒りが込み上げる。
「俺たちの仲間をこんなにしやがって…
噛み殺してやる…塵が。」