第43章 仇と執念
猗窩座は炭治郎の声にすぐに反応し、頸を狙って裏拳を打った。
炭治郎は瞬時にしゃがみ込んで躱す。
杏「よもや…」
義「馬鹿正直に呼ぶとは…!」
猗窩座は炭治郎が生きていることに驚いていた。
なぜこいつは生きている?
だが、どんな攻撃でも俺の破壊殺・羅針は感知する。相手の闘気が強ければ強いほど、羅針の反応も強まるだけ。
しかしどうだろうか。今の炭治郎からは闘気が消えている。闘気がない。
あぁ、これが俺の求めていた至高の領域か…。
あいつが手に入れた。
—-水の呼吸 壱ノ型 水面斬り—-
—-炎の呼吸 壱ノ型 不知火—-
—-ヒノカミ神楽 斜陽転身—-
3人の刀が猗窩座の頸を斬る。
『ばか…な…』
猗窩座の頸が落ちていく。
…と思った時、猗窩座の体が動きググッと頸を身体につけようとするではないか。
慌てて義勇が猗窩座の頭に向けて刀を投げ刺した。
猗窩座の頭はゴトンと落ち、段々と崩れ始めた。
『俺は誰よりも、強くならなければ…強く…』
崩れ行くあかざを見て炭治郎の体に限界が訪れる。
ブルブルと筋肉が痙攣し始めた。
しかし、義勇と杏寿郎が異変に気づく。
義「体が…崩れない…」
杏「これは…まさか…」
ドンッ!!!
猗窩座の足が踏み込まれ、また羅針が出現する。
斬られた頸のところからはメキメキと再生されようとしていて、動けなくなった炭治郎に手刀が振り下ろされた。
ドゴォ!!!
それを受け止めたのは杏寿郎。
杏「猗窩座!!君がそこまで戦う執念はなんだ!!
なぜそんなに強くなりたい⁉︎」
「君も…君も、誰かを守るために強くなりたかったのか?」
(不屈の精神を持つもの…目障りだ)
猗窩座には杏寿郎達が何度も立ち上がってくるのに苛立ちを覚えていた。
猗窩座が杏寿郎に拳を打ち込もうとした時、グンっと腕を引かれた。
猗窩座の腕を引いたのは、雪の結晶の髪飾りをした少女。
『放せ、手を放せ。…誰だお前は。』
「もう、やめにしましょう。
向こうに行きましょう」
『俺は強くならなければならない。
邪魔をする奴は殺す。』
「どうしてですか?どうして強くなりたいのですか?」
それは…