第43章 仇と執念
「絶対に諦めるな。考え続けることだ。
どんな壁もいつか打ち破る。弛まぬ努力で。」
透き通る世界に入れた時、動きの予測と攻撃の回避の速度が格段に上がる。
相手の肺の動き、血管の流れや収縮げ透けて見えて自らの筋肉の収縮もより速く鮮明に分かった。
猗窩座がおそらく感知している"闘気“を閉じた状態で頸を狙えるかもしれない。
片や義勇は今少しの所で斬り込めないことにもどかしさを感じていた。
(実力の差か。正確で強い攻撃をしても、同じく正確で鋭い技を返される。
泥沼だ。攻撃の型も先読みされるように出てきた。)
猗窩座。この男は修羅だ。戦う事以外、全て捨てた男だ。
『もう水の型は全て出し尽くしたようだな。
もう充分だ、義勇。終わりにしよう。よくここまで持ち堪えた。」
猗窩座の拳が容赦なく義勇に向かう。
杏「待て猗窩座!!先に俺の相手をしろ!!」
——炎の呼吸 参ノ型 気炎万象——
杏寿郎が、猗窩座の腕を斬ろうとするが適応能力が上がっており、動きが先読みされてしまう。
義勇も水車で応戦しようとすると、猗窩座の裏拳が義勇の刀を弾いた。咄嗟に杏寿郎の刀が入ったことにより、義勇の刀が折れることは防げたが、弾かれた拍子によろけてしまった。
その隙をつき、猗窩座はあの日杏寿郎にしたように義勇の鳩尾を狙う。
『然らば』
杏「冨岡!!!!」
ドスッ
鈍い音がして義勇と猗窩座の腕との間に血飛沫が飛ぶ。
しかし、2人の表情は何があったのかと唖然としている。
杏寿郎も目を見開く。
猗窩座の手首からが…
ない。
ボトッと落ちた猗窩座の手。
それを斬ったのは…
杏「竈門…少年…?」
ゴォオオという呼吸音。
それは今までの呼吸音とは違っていた。
髪も目も…。
それはそこにいる者全員が粟立つ程だった。
あまりの炭治郎の変貌ぶりに呆けている猗窩座。
杏寿郎と義勇は一気に間合いに詰める。
それに気づいた猗窩座はドンッと急いで術式展開をとる。
——終式・青銀乱残光——
杏(また攻撃の速度が上がる!!威力が増大…!!
くっ!ここでは狭くて奥義は出せない!!)
義(受けきれるか…⁉︎凪で…!!)