第43章 仇と執念
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…どこに行った?
下に落ちて行ったが戻ってくる様子もない。
猗窩座はけたたましい音を立てて落ちて行った。
まだ猗窩座は戦いたくて仕方がないはず。
それなのに逃げるような真似をするだろうか。
…だとすると
「下で誰かを見つけたか…。」
猗窩座が杏寿郎を放ってまで戦いたい相手とは…
「泰葉か、竈門少年か…!!!」
今の竈門少年ならすぐにやられてしまうことはないだろうが、相手は上弦の参。
とても1人では太刀打ちできる相手ではない…。
しかし、泰葉ならば…
また互角に戦うこともできるかもしれないが。
永遠とやり合うだけだ…。
どちらにせよ早く辿り着かなくては!!!
杏寿郎は廊下を飛び移りながら、下へと急いで降りていく。
降り立つ廊下からはぞろぞろと下っ端の鬼達が行く手を阻む。
「むぅ、これではまるで百鬼夜行だな…。」
杏寿郎は鬼を斬り倒しながら先を急ぐ。
すると、ドンッガンッと音を立てて何かが向かってくる。
杏寿郎が音のする方を見ると、壁を突き破り飛んできたのは…
「冨岡!!!」
それは義勇の姿だった。
杏寿郎はすぐに跳び、義勇を受け止める。
ズザァァッと足に力を込めて留まると、背中には大きな傷を受けた義勇の姿。
「冨岡!大丈夫か⁉︎」
義「煉獄…!上弦の…参が…。」
「猗窩座は君と戦っていたのか!」
義「今は炭治郎と…。」
やはり、猗窩座はだから戻って来ないのかと杏寿郎は頷いた。
「俺も猗窩座を探していた!案内してもらいたい!!走れるか⁉︎」
義「あぁ、俺もあいつには頭にきている。」
ドンッと勢いよく流れる水の如く、義勇は走っていく。
そして、義勇のあとを烈火の如く杏寿郎はついて行った。