第43章 仇と執念
杏寿郎の刀は猗窩座の手を抜け、左肩を斬り落とす。
ゴトリと落ちた腕を見る猗窩座。
畳み掛けるように杏寿郎は刃を振るう。
格段に動きが速く、威力も増している杏寿郎に猗窩座は鳥肌が止まらなかった。
猗窩座も攻撃を繰り出しているが、決定的な一打がなかなか当てられずにいた。
「どうした猗窩座!こちらからいくぞ!」
——炎の呼吸 伍ノ型 炎虎——
烈火の猛虎を生み出すが如く刀を大きく振るい、噛み付くように猗窩座に斬りかかっていく。
『面白い、面白いぞ!!』
——破壊殺・乱式——-
あの日のように杏寿郎の炎虎に対し、乱式を繰り出し拳を乱打する。
しかし違うのは、あの日相殺できていた攻撃に自分が、押されているということ。
杏寿郎から放たれた虎が猗窩座に飛びかかってくる。
ドンッ
その衝撃に猗窩座の身体は後ろへと飛んでいき、部屋を飛び出し廊下へと放り出された。
そして、そのまま下の階へと落ちていった。