第43章 仇と執念
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幸せな道はずっとずっと遠くまで続いてるって思い込んでいた。
破壊されて初めて、その幸福が薄い硝子の上になっているものだと気づく。
そして、自分たちが救われたように、まだ破壊されていない誰かの幸福を強くなって守りたいと思った。
そう姉さんと約束した。
力が弱くても
鬼の頸が斬れなくても
鬼を一体倒せば何十人。
倒すのが上弦なら何百人もの人を助けられる。
できるできないじゃない。
やらなきゃならないことがある。
炭治郎くんに「怒ってますか?」と言われたことがある。
そう、私怒ってるんですよ。
ずっと、ずーっと怒ってますよ。
親を殺された。姉を殺された。
カナヲ以外の継子も殺された。
アオイや、すみ、きよ、なほだって本当なら今も…
鬼に身内を殺されてなければ今も…
家族と幸せに暮らしてた。
泰葉さんだって、こんな身を危険に晒さなくて良かった…。
ほんと頭にくる
ふざけるな馬鹿。
なんで毒が効かないのよコイツ…
馬鹿野郎。
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にたぁと笑う童磨。
童磨の頸から刀が抜け、地面に落ちていくしのぶにギュルッと蔦のようなものを伸ばし、しのぶの体に巻きつけた。
し「!!」
「しのぶさん逃げて!」
そのまま強く引き上げられ、ガシッと童磨がしのぶを抱きしめた。
『えらい!!頑張ったね!!俺は感動したよ!!
こんな弱い女の子が、ここまでやれるなんて。
姉さんより才もないのによく鬼狩りをやってこれたよ。
今まで死ななかったことが奇跡だ。
全部全部無駄だというのにやり抜く愚かさ。
これが人間の儚さ、人間の素晴らしさなんだよ。
君は俺が喰うに相応しい人だ。
永遠を共に生きよう。
言い残すことはあるかい?聞いてあげる。』
し「…地獄に落ちろ。」
童磨がしのぶを吸収しようとしているのか、童磨の前面がうにょうにょと動き始めた。