第41章 開戦
ベンッ
また琵琶の音がなったと思うと、一瞬で外へと出た。
自分の目の前には鬼舞辻無惨。
そして泰葉を拘束しているのは
金崎侑…基、凝慘。
「…初めましてだね。
鬼舞辻…無惨…」
泰葉はこの声は…と目を見開く。
鬼舞辻の目線の先には一組の布団。
そこにいるのは間違いなく耀哉だ。
目元を包帯で覆っているため、完全な表情は見えないが全てを分かっていたように落ち着いている。
無「…なんとも醜悪な姿だな。産屋敷。」
耀「ついに…私の…元へ来た…。今…目の前に…。
我が一族が…鬼殺隊が…千年…追い続けた…鬼…」
耀哉は少し興奮気味にあまねに鬼舞辻がどのような姿形をしているかを問う。
あ「20代半ばから後半あたりの男性に見えます。
ただし、瞳は紅梅色。そして瞳孔が猫のように縦長です。」
耀「そうか、そう。
君は私に…産屋敷一族に酷く腹を立てていただろうから…
私だけは…君が…君自身が殺しに来ると…思っていた。」
無惨はふんっと鼻で笑う。
無「私は心底興醒めしたよ。産屋敷。
身の程を弁えず千年にも渡り、私の邪魔ばかりしてきた一族の長がこのようなザマで。
醜い。なんとも醜い。お前からは既に屍の匂いがするぞ。産屋敷。」
耀「そうだろうね…私は…半年も前には…医者から…数日で死ぬと言われていた。
それでもまだ…私は生きている。医者も…言葉を失っていた。
それもひとえに…君を倒したいという一心ゆえだ…。」
耀哉の呼吸はヒューヒューと肺にも穴が空いているかのような音がしている。
耀哉はあまねに手を借りながら上体を起こす。
ズレた包帯から除いた目は充血し、目から血が流れ出ていた。
無「その儚い夢も今宵潰えたな。お前はこれから俺が殺す。」
耀「君は…知らないかもしれないが…君と私は…同じ血筋なんだよ…」
無惨の表情は後ろからでは分かりかねるが、とても心に響いている様には思えなかった。
泰葉は少しでも凝慘の力が緩まればと隙を見るが、流石になかなかそうはいかなかった。