第41章 開戦
杏寿郎は要を飛ばした。
泰葉が攫われたこと。
そして、おそらくだが間もなく火蓋が切られること。
柱達は全員できる限りの移動を施す。
杏寿郎は風を切り走る。
泰葉は多分人質に取られているのだろう。
卑怯な真似をしてくれる…。
杏寿郎はぎりっと唇を噛んだ。
産屋敷邸が見えてきた。
存在に気づかれたら何をし出すか分からない。
ここは冷静にならなくては…。
すると、連絡を受けた行冥と天元が現れた。
天「…泰葉は、無事なのか?」
それは1番杏寿郎が気にしていることだとは分かっていたが、どうしても聞かなくては気が済まなかった。
杏「血の出た形跡は無かった。
…きっと人質のつもりなのだろう。」
杏寿郎のやるせない表情をみて、やはり先程の質問は野暮だったと反省する天元。
同じ敷地にいながら愛する者を攫われたのだ…
言うまでもない。
天「…泰葉なら大丈夫だ。
そうだろう、煉獄!」
背中をバシッと叩き、立ち上がる。
行「西ノ宮も一緒に救い出す…。我らならできる。」
杏「あぁ、必ず全員救い出す!」
士気を高めている間に槇寿郎も到着した。
槇「まだ動きはないか?」
天「俺が様子を見てくる。合図を出したら配置についてくれ。」
流石は元忍。
音もなく屋根の上を歩く様はとても真似できない。
杏寿郎は心から祈る。
泰葉…無事でいてくれ…。