第40章 作戦
昨夜のこと。
珠世としのぶは薬剤を取りに廊下を歩いていた。
たくさんの部屋があり、正直どの部屋が何の部屋か分からなかったが、誰かの話す声が聞こえた。
そして、ある部屋の前を通りかかった時、それは耀哉と行冥が話しているのだと分かった。
鬼殺隊の中でお館様との付き合いが1番長いであろう行冥は、お館様の身を心配して伺ったのだろうと、あまり気に留めていなかったが、ある言葉が耳に入る。
「子供たちは、私自身を…囮に…する事を…承知しないだろう。」
その一言でしのぶにも珠世にも大体のことが察しがついた。
あとは行冥から話を聞くとして、一度部屋を離れた。
行冥が出てくるのを待ち伏せて、問い詰める。
なかなか口を割らなかったが、少しだけ聞こえた部分を話すと、諦めたように行冥は話し始めた。
その内容は、
あと5日以内に鬼舞辻が現れる。
その時は耀哉を囮にしてくれと。
槇「やはり…」
杏「方法は…爆破か?」
しのぶは頷いた。
し「それは珠世さんが知っていました。
その爆薬の中に無惨が浅草で鬼にした男性の血鬼術を入れ込むと。
その計画が持ち込まれていたそうです。」
つまりは、鬼舞辻が現れたらお館様は話をしている間に屋敷もろとも爆破で吹き飛ばす。
その中に含まれていた、血鬼術で無惨を動かなくしたところで珠世が無惨に薬を吸収させる。
そして、弱体化したところを柱達が狙い伐つ。
炭「でも、それじゃ珠世さんはっ」
「…それが、珠世さんの願いなの。」
炭治郎の思いに泰葉が答える。
「珠世さんは、鬼舞辻によって鬼にされた。
病で命が尽きそうになり、幼い子の成長を見たいと願った一心に漬け込まれた。
気づいたら成長を見たかったはずの子と旦那さんを喰らってしまったそうよ。だから珠世さんは鬼舞辻を地獄に送ることが、今まで生きる理由なの。
その目的が叶うなら、子供と旦那さんの所に行きたい。だから、身を呈して鬼舞辻に自ら打ち込む方法を提案した。」
炭「そ、そんな…
禰󠄀豆子の事もあんなに調べてくれたのに…」
炭治郎は肩を落とす。
あんなに優しい人が…。
そう思ってならなかった。