第39章 嫉妬 ❇︎
耳まで真っ赤にしている泰葉を愛しく思い、杏寿郎は泰葉の頭をそっと自分の胸に押し当てる。
杏「…聞こえるか?
俺の鼓動も速くなっているだろう。前に確認し合おうと言ってしないまま稽古になってしまったからな…。
泰葉さんを見る度、触れる度こんなにも高鳴っている。
普段は全集中で整えられるのにな…。君のこととなるとうまくいかない。」
ふっと杏寿郎は笑った。
確かに杏寿郎の鼓動は強く速く鳴っていた。
自分だけではない。杏寿郎も同じように想ってくれていると嬉しくなる。
「…力強い音がしてる。」
杏「…さぁ、俺にも聞かせてくれ。」
杏寿郎はゆっくり泰葉を押し倒した。
杏「俺とどちらが高なっているのだろうな?泰葉。」
先ほどから杏寿郎は泰葉の名を呼び捨てにする。
いつもと違った呼び方と、色気に下腹部が呼ばれる度にキュンとするのが分かった。
仰向けに寝そべった泰葉の左胸に杏寿郎が耳を当てる。
自分でもよく分かる。いつもより余計に高鳴っているのだ。
杏「おぉ、元気のいい鼓動だな。そんなにドキドキするか…?」
「あ、あたりまえでしょう!!」
杏寿郎はそうかそうかと楽しそうに笑った。
しばらくそのまま動かないでいると、杏寿郎は顔を離して泰葉の頭をそっと浮かせ、後ろで結んでいる髪留めに触れた。
杏「これをつけたままでは痛いだろう。
毎日付けてくれていたのか?」
パチンと外されたのは杏寿郎が贈ったあの髪留め。
もらった時から、毎日付けていた。
「うん。これを付けていると、杏寿郎さんに守られている気になるし。」
これには杏寿郎も、蜜璃でいうキュンとした。
いまなら恋の呼吸も使えるかもしれない。
杏「そんな可愛いことを言ってくれると、歯止めが効かなくなってしまうな。」
それを聞いて泰葉がふふふと笑う。
「いつもでしょう?」
杏「あぁ、そうだないつも君が悪い。」
そして杏寿郎は泰葉に覆い被さり、また口付けてを落とした。