第38章 新たな協力者
杏「よし!皆休憩したな!
次、腕立て200回を5本!始め!」
稽古に戻った杏寿郎は元気いっぱい。
隊士たちは杏寿郎の、指示に絶望。
しかし文句が言えないのは、同じ課題を杏寿郎自身も行なっているからである。
村「お、おい…炎柱様…余計に元気になってないか?」
そう話すのは村田。
義勇と同期の隊士だ。那田蜘山という場所での任務で一緒になってから、炭治郎達と何かと仲良くなっていた。
ツヤツヤの前髪がチャームポイントである。
炭「はは…きっと泰葉さんに会って、元気をもらったんでしょうね。」
村「泰葉さんって、さっき帰ってきた人だろ?
あれ…あの人って、蝶屋敷にいた…。
なんでここにいるんだ?」
炭「泰葉さんはここに住んでるそうですよ。
そして、煉獄さんの恋人なんです。」
村「えぇ⁉︎あの人に、恋人⁉︎」
杏寿郎に最近噂立っていたが、それが本当になっているとは思っていなかった村田。
驚きのあまり、腕の力が抜けてしまった。
ガクンと地面に倒れると、
杏「どうした!まだ始まったばかりだろう!」
村「ひぇ!はっ、はい!大丈夫です!」
村田が前を見ると、顔にずいっと近づいて見られていた。
あの目に至近距離で見られると蛇に睨まれた蛙。
冷や汗がダラダラと流れた。
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泰葉は着替えを済ませて台所に向かった。
台所では千寿郎が忙しなく動き回っている。
「千寿郎くん!ごめんね、手伝うよ!」
千「あ!泰葉さん、お戻りになったのですね!
お怪我はありませんか?」
何よりも泰葉の怪我を心配してくれる。
優しい男の子だ。
「大丈夫よ。ありがとう!
さて、何からすればいい?」
泰葉は千寿郎の指示で、おにぎりを作ることにした。
個数は100個。
これをここ3日ほど、千寿郎は一人でこなしていた。
千「流石に他のおかずを作る暇がなくて、おにぎりだけになってしまっていましたが、今日は泰葉さんもいてくれるのでおかずも用意できそうです!」
千寿郎は嬉しそうに笑う。
話によると、大変だろうからと杏寿郎が手伝ったが、おにぎりを握っているはずなのにボヤ騒ぎになったそうだ。
「なぜ…ボヤ?」
千「…分かりません。」