第38章 新たな協力者
産屋敷邸にまた、槇寿郎が迎えに来てくれた。
煉獄家近くまで来て、2人は並んで歩く。
槇「…どうだ?薬などはうまくいったのか?」
「はい、とても優秀な方々のおかげで、とても効果的なものができていると思います!
…ただ…」
珠世の最後の話が頭から離れなかった。
槇「どうした…?」
泰葉はどうしようか悩んだが、この話をすることにした。
薬の種類など、万が一情報が漏れたらまずいのでそこは伏せたが、珠世の最後の話を伝える。
すると、槇寿郎の顔が曇った。
槇「…俺もお館様と話していて気になる点がある。
俺にはお館様とあまね様が鬼舞辻を倒すために、自害される気でいるのではないかと…。」
「…それに珠世様も?」
槇「まだ分からんが…、杏寿郎にも話してみることにしよう。」
煉獄家に近づくと、稽古中なのか
悲鳴や呻き声などが聞こえてきた。
『も、もう腕が…』
杏「頑張れ!もう少しだぞ!あと100回!」
熱い励ましの言葉と地獄の訓練内容。
泰葉に気づいた杏寿郎は晴れやかな表情をしてこちらを向く。
杏「泰葉さん!ようやく帰ったか!!」
「ただいま帰りました!」
杏寿郎は泰葉の所に来ようとしたのか、右足が前に踏み込まれたが、チラリと隊士たちを見てピタリと止まる。
杏「泰葉さん!
君の稽古は明日からにしよう!」
「はい。では、着替えて参ります。」
そう言って、泰葉は頭を下げた。
槇「あいつのことだから駆け寄ってくると思ったが…。
隊士たちがいるからか?」
「ふふ。意外とそういう性格なのかもしれませんよ?」
笑いながら泰葉は離れに向かった。
槇寿郎は自分の昔を思い出す。
瑠火さんを見つけると、両手を広げて待っていたっけなぁ。
槇「瑠火さん!さぁ!!」
瑠「槇寿郎さん、場を弁えてください。」
恥ずかしそうに頬を染めるものだから、余計に可愛いんだよな…。
俺がそんなだったんだから、杏寿郎もそうだと思ったんだが…。
俺の時より幾分大人なのか?
と思っていたが
杏「では、休憩!」
と、足早に離れに向かった。
槇「やっぱりな。」