第38章 新たな協力者
珠世の話によると、
泰葉の血液成分は治癒能力があり、回復させることができる。
しかし反対に細胞自体には、壊死させる力があるという。
血液の約45%に細胞成分があると言われるが、その割合が重要らしく治癒に変わるらしい。
「じゃぁ…私が鬼舞辻に喰われれば…」
し「…!!!」
珠「はい。…ですが、あなたの命を消さないでいただきたい。
今、見たところ、あなたの髪の毛全体にも壊死させる効力は十分にあると言えます。」
「もう少し…調べさせてください。」
泰葉は黙って頷いた。
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珠世はこう見えて200年以上生きている。
その間医者をやっていると、いろんな話が入ってくるそうだ。
100年ほど前
優秀な戦闘能力のある一族がいる。
その血液は不老不死に繋がるようだ。
しかし、肉片を喰らうことは許されない。
なんせ、猛毒と化するからな。
そんな話を聞いたことがあった。
_その一族とは?
_あぁ、西ノ宮…とか言ったかな。
泰葉はそれから考えることがやめられなかった。
『私が丸々喰われれば、この忌々しい歴史に幕が降りる…。
人々の命が鬼に脅かされることはない…。』
ふわりと蝶が隣に降り立つ。
し「物騒なこと…考えていませんか…?」
「物騒な…こと…」
し「喰われれば全てが終わる…と。」
誰もが予想できただろう。
自分にそんな力があると言われたら、誰だって考える。
し「そうなれば、私達にとっては鬼がいなくなるのですから、いいことになります。
しかし、代償が大きすぎる。」
はぁ、とため息をつくしのぶ。
し「煉獄さんはどうなるんです?
25までと言われている命、精一杯あなたと歩みたいと思っているでしょうに…。」
「………。」
あの日、25までしか生きられない。
それならば他の人と歩んだ方が幸せなのではないか…。
…それを断ったのは、自分なのに。
「自分がそうなると、やっぱり思うんだなぁ。」
…自分がいなくなったら、前に進み他の人と幸せになって欲しい…と。
天を仰ぐ泰葉にしのぶは眉間に皺を寄せた。