第38章 新たな協力者
その頃
槇寿郎は耀哉の部屋へと案内された。
もう動くことが不可能に近い状態だ。
痣が全身に回っている。
耀「槇、寿郎…、会えて…よ、かった。」
槇「…お館様、私が落ちぶれてからも煉獄家を気にかけて下さり、ありがとうございます。
息子達は、私を超えて立派になりました。」
耀哉は動かない首を左右に精一杯動かす。
その時、あまねが戻ってきた。
あ「御子息達が立派に成長したのは、槇寿郎様と瑠火様が幼き頃に沢山の愛情を与えたからでしょう。
優しい父を知っているからだと思いますよ。」
話が聞こえていたのだろうか。
あまねの言葉に槇寿郎は泰葉にも同じように言われたことを思い出す。
槇「泰葉さんにも同じように説教をされました。
しかし、それで私も目を覚ますことができた。」
耀「そう…。泰葉は、私達の…光だ。
太陽の、ような…杏寿…郎の、元に…現れて…くれたんだね…。」
槇「…彼女が杏寿郎の前に現れたのは、必然だったのでは無いかと思ってなりません。」
耀哉が頷く。
耀哉の体力に限界が来たので、代わりにあまねが話をする。
あ「槇寿郎様に折り入ってお願いがございます。
おそらくもう少しで鬼舞辻がこちらに現れるでしょう。
槇寿郎様と、宇髄様に此処の護衛をお願いしたいのです。
…耀哉がこの状態。その時には産屋敷輝利哉が産屋敷家当主として指揮をとります。
どうぞ、輝利哉達を…お願いいたします。」
三つ指をついて頭を下げるあまね。
槇「御意。」
槇寿郎も頭を下げた。
しかし、どこか引っかかる。
まるで耀哉もあまねもその時には存在していないかのような言い方だ。
話は終わり、泰葉はこのまま産屋敷家で協力することになったので、槇寿郎は1人煉獄家へと帰っていった。