第38章 新たな協力者
「お待たせ致しました!!」
用意を済ませた泰葉が槇寿郎の元へと駆けてきた。
槇「よし、では行くとするか。
風柱。世話になったな。」
「不死川様、ありがとうございました。」
丁寧に頭を下げる2人。
実弥は、「親子かよ…」と思ったが、頭をガシガシと掻きながら
実「ああ、気いつけてなァ。
親父さん、頼みます。」
と、軽く頭を下げた。
槇「…では行くか。」
「はい。あ、炭治郎くんお大事にね。」
炭「はい、しのぶさんにもよろしくお伝えください。」
そう答える炭治郎に、槇寿郎はその時初めてこの少年が炭治郎だったのだと気づき、ギョッとする。
顔がボコボコすぎて分からなかったのだ。
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「わざわざお迎えに来てくださり、ありがとうございます。」
泰葉が槇寿郎ににこりと微笑むと、照れ臭そうだった。
槇「鴉が来てな。杏寿郎が行くと騒いだが、あいつも稽古を控えている身だ。いつ隊士が来るか分からん。
だから、産屋敷邸の道も分かる俺が来た。」
「あいつほどではないが、そこらの鬼ならまだまだ斬れる。」
そういう槇寿郎に泰葉はクスッと笑った。
「毎朝鍛錬を行なっていますものね。
長年、剣技から離れていたとは思えない美しさだと思います。」
素直な感想を述べる泰葉。
槇寿郎は頬を赤くする。
槇(まったく、そういうところだぞ!)
今日も娘が可愛い。
そんな親心をくすぐられたのだった。
槇「コホン。…それより日が暮れては大変だ。
少し走るぞ。泰葉さん、申し訳ないが横抱きにするからな。」
泰葉は目を丸くした。
杏寿郎なら何度か横抱きにされているが、槇寿郎にまで!!
「じ、自分で走れます!炭治郎くんについて行けてましたから、大丈夫です!」
慌てて断ると、槇寿郎が渋い顔をする。
槇「竈門くんと一緒にしないでもらいたい。仮にも元柱だったんだ。」
プライド…だろうか。
こんな表情をされては断れない。
「し、失礼しました。では…よろしくお願いします。」
泰葉が頭を下げると、満足そうな表情に変わる。
槇「あぁ!任せなさい。」
こういう所、親子だなぁと思った。