第38章 新たな協力者
実「チッ、竈門テメェ覚えとけよ。」
実弥はゆっくり立ち上がり、泰葉に手を差し伸べる。
実「悪かったなァ。痛むか?」
「さすがに少し。でも、大丈夫ですよ。
何があったかは分かりませんが、稽古以外のやり合いはいけませんよ。」
泰葉は実弥の手を取り、手をパタパタと払いながら立ち上がった。
一応、炭治郎くんをこれ以上痛めつけないように釘を刺したのだけど…。
実「…あぁ。」
返事をしつつ、ギロッと炭治郎を睨む実弥。
これは…まだ危ないな。
実「しかし、泰葉は何でお館様に呼ばれてんだァ?
柱から離れるなというから、やっぱり俺が行かねえとだよなァ?」
うーん…
そうすると実弥はここを離れることになってしまう。
一方、隊士達は『お願い!そのまま送りに行って!!』と願っていた。
「その必要はない。俺が連れて行く。」
貫禄のある声。
泰葉には聞き馴染みのある声だった。
泰葉と実弥が振り向くと、そこには槇寿郎が立っていた。
いつもと違い、着流しではなく袴を履いていた。
実「煉獄の…親父さん。」
まさかの槇寿郎の登場で驚く2人。
しかし、隊士達はまた違った意味で驚いていた。
杏寿郎が歳をとって、不機嫌にしたようなそっくりな人物が立っているのだ。
『あれが…元炎柱様…』
『間違いない。そっくりだ…』
槇「俺が責任持って泰葉さんをお館様の元へ連れて行こう。
風柱、後輩指導が熱心なのはいいが、熱くなりすぎるなよ。」
目の前に広がる惨状に、本音と少しの皮肉を込めていた。
実「…はい。」
槇「泰葉さんの用意ができ次第、出発するとしよう。」
「…は、はい!」
泰葉は慌てて身支度をしに行った。
…ということは…
実弥はまだ、ここにいるということだ。
しかし、この騒動を鴉が産屋敷邸に伝えてしまったため、風柱の稽古は一時中断となり、実弥と炭治郎は接近禁止令が出された。
鴉を通じて互いに叱られたのは言うまでもない。