第37章 合同強化訓練
実「自ら入って来るとはなァ。」
ニヤリと笑う実弥が見えた。
四方八方から、木刀を打ち込んでくる攻撃を泰葉はなんとか受け流しながら中心まで行き着いた。
「ぐぁっ!」
ガンっ!!!
鈍い音が響く。
風が止み、しん…と静まる。
隊士達は泰葉がどうなってしまったのか心配した。
そして、災害ともいえるその惨劇の跡を見ると、泰葉が実弥に組み敷かれるように倒れていた。
実弥の木刀は泰葉の顔の横で、地面に突き刺さっている。
泰葉はというと、持っていた木刀は折れていた。
…が、ピシャッと実弥の腕から血が跳ねた。
『⁉︎』
実「ふっ、やるなァ。この攻撃の中に入って俺に傷をつけるたァ。」
「…でも、不死川様が鬼なら、私の命はありませんね。
参りました。」
実弥に組み敷かれたまま両手を上げる泰葉。
泰葉は実弥が回転する方向と逆に体を捻り、左を向けたところで木刀を振った。結果は、また回ってきた実弥の木刀にへし折られてしまったが、その前に腕に当たり、傷を負わせることができたのだ。
実「いや、見事だったぜェ。」
ふっと微笑む実弥。
泰葉も思わず微笑んだ。
善「ちょっと待ったぁぁぁ!!!あんた何しちゃってるの⁉︎泰葉さんをぉ?組み敷いちゃってぇ?いかがわしいんですけどぉぉぉぉ!!!」
善逸が指を刺しながら大声で叫ぶ。
チッと舌打ちして実弥は泰葉の上から退いた。
実「我妻ぁ、元気になったみたいだなぁ。」
ゴキゴキと首を鳴らしながら近づく実弥。
善逸はまた口から魂が出たように倒れ込んだ。