第37章 合同強化訓練
泰葉の訓練は一度終わったものの、実弥はまだまだ隊士達を薙ぎ倒している。
特に炭治郎への当たりは強い。
気を抜けば大怪我になるだろう。
もういつの間にか、炭治郎の顔はボコボコに腫れ上がっていた。
「みんなが頑張っている間にご飯の用意でもするか!」
訓練でみんなが吐き戻しているようだったので、消化の良いものにしよう…。
雑炊に、ナスの味噌汁、酢の物に…と作っていると
ドォン!!ガシャン!!
「⁉︎⁉︎」
な、何事⁉︎
泰葉は台所の火を止めて、急いで音がした方へ駆けつけた。
そこには、実弥により腹を思い切り殴られてる炭治郎…
と思ったが、炭治郎は実弥の拳を止めていた。
そして、その腕をグルンと回し炭治郎の蹴りが、実弥の側頸部に入った。
実弥は頸を押さえながら炭治郎を睨みつける。
炭「善逸ーーーー!!玄弥を逃してくれ!!頼む!」
善逸はこの場面で名を呼ばれたことに驚愕している。
何があったかは分からないけど、とりあえずただごとではない。
隊士同士稽古でもなくやり合うのは御法度のはず。
実弥は炭治郎に次の攻撃を仕掛けようと、腕に力を込め体を逆立ちのように持ち上げようとしている。
おそらく、身を捻り回転力を利用した蹴りを入れるのだろう。
これは、稽古ではない!よって助けに入るほうが良さそうだ!
玄「炭治郎!!!」
その時実弥の脚が、炭治郎の耳を掠めて寸前で止まった。
炭「………?」
「!!!!泰葉さん!!!」
炭治郎と実弥の間に入り、実弥の蹴りを腕で受け止めている泰葉。
実弥の脚が掠ったのだろう。泰葉の前髪がはらりと少し舞う。
実「泰葉、どけ。死にてェみたいだから望み通り殺してやるよォ。」
もう一度殴ろうとする実弥。
玄「兄貴!炭治郎は関係ない!」
実弥の拳が炭治郎に向かう。
玄弥が善逸に腕を引かれ、炭治郎が殴られると目を閉じた。
その時。
『西ノ宮泰葉
産屋敷邸へ。
シノブガ待ツ。
西ノ宮泰葉
産屋敷邸へ。』
一羽の鴉が旋回する。
私が、産屋敷邸に?