第37章 合同強化訓練
炭「ご無沙汰してます。今日から訓練に参加させてもらいます。」
炭治郎が礼儀正しく挨拶をする。
すると、立ち止まって振り返る。
実「調子に乗るなよォ。
俺はテメェを認めてねえからなァ。」
そんな言い方しなくても…。
とは思ったが、泰葉は玄弥から不死川家のことは聞いている。愛する家族を奪った「鬼」という存在を心底憎く思っている。
もはや、禰󠄀豆子が人を喰らうか喰らわないかではないのだろう。
泰葉は炭治郎が心配になって、表情を覗き見る。
すると、意外にも落ち込んだ様子はなく、
むしろ…
炭「全然大丈夫です!俺も貴方を認めてないので!!
禰󠄀豆子刺したんで!!!」
そう言って歩き出す。
あぁ…
炭治郎くん。
それでは火に油を注ぐようなものだよ…。
案の定、実弥の顔にはいくつもの筋がビキビキとたっていた。
実「いい度胸だ…」
心配そうに見守る泰葉。
それに気づいた実弥。
実「泰葉、いくぞ。
お前も隊服もらったんだなァ。似合ってんじゃねえか。」
一瞬柔らかい表情になる。
しかし前を向くと、また怖い顔をして
「竈門、覚悟しとけェ。」
と歩き出した。
実弥の訓練は、善逸が逃げ出すのも分かるキツさだった。
隊士達はとにかく実弥に斬りかかっていくという単純な打ち込み稽古だったが、なんせ実弥の強さは桁違い。
そして反吐をぶちまけて、失神するまでが一区切りだという。
それまでは休憩なし。
小芭内でさえ、休憩をちゃんとくれていた。
『ぐえぇっ!!!』
『しぬぅう!!』
隊士達の悲痛な叫びが上がり、バタンバタンと倒れていく。
泰葉は隊士達に駆け寄り心配した。
「大丈夫ですか?」
すると、隊士達はニヘェ…っと顔を綻ばせて
『はいぃ…』
と言ってしまった。
実「ほォー、大丈夫かィ。じゃぁもういっぺんやっとくかァ。」
そう実弥に微笑まれると、隊士達は一気に気絶した。
「不死川様、もう少し休憩が必要なのでは?」
実「ただの稽古ならなァ。でも、これから控えてるのはもっと大変な戦いなんだ。鬼はこっちの体力考えちゃぁくれねぇんだよォ。」
…返す言葉もない。
たしかに実弥の言う通りだ。
人間を気遣ってくれる鬼など禰󠄀豆子以外にいないだろうな…。
「不死川様、私にも訓練をお願いします!」