第37章 合同強化訓練
「炭治郎くんは、私を庇ってくれ…ぶっ!!」
泰葉は炎を模した羽織に包まれた。
杏「泰葉さん、聞きたいことがいくつかあるのだが。
その前に、着替えてきてくれないだろうか!」
羽織ごと杏寿郎に抱きしめられた泰葉は、杏寿郎の力強さに一生懸命耐えながら頷いた。
杏「甘露寺!!泰葉さんは、まだこの格好の必要はあるか!」
ある意味有無を言わせぬ口ぶりで蜜璃に聞けば、蜜璃はぶんぶんと首を振った。
蜜「泰葉ちゃんは踊るのも、柔軟もバッチリだったので、着替えてもらって大丈夫です!!」
蜜璃の許可も下り、泰葉は隊服に着替えた。
ふぅ、と一安心の杏寿郎。
あの格好でこんな大勢の前に出ていたのか…
泰葉さんの身体を見たに等しいな…。
杏寿郎はぎりっと唇を噛む。
泰葉は杏寿郎の隣で炭治郎の終わりを待つことになった。
杏「………。」
「………。」
無言。
先程は聞きたいことがあると言っていたのに。
それは何だったのだろうか。
「あ、あの。」
杏「なんだ!!」
何だじゃないでしょうよ!と思うのを飲み込んだ。
「聞きたいことがあるとおっしゃっていましたが、何でしょうか?」
泰葉の質問で、杏寿郎は大きくため息をついた。
杏「はぁ。泰葉さんは、今自分にどんな噂が立っているか分かるか?」
噂…?
泰葉は首を横に振る。
杏「先程耳にしたのだがな。
泰葉さんが時透に大好きだと言われ、抱きしめていた。
そして、君は満更でもない様子だった。
だから、君たち2人はそういう仲なのではないかと。」
「そんな!無一郎くんはいつもあんな感じだから…」
杏「君としてはそうなのかもしれないが、他からしたらそう見えるようだ。そして、いくら時透だとしても、俺も泰葉さんが他の男に抱きしめられてると知って面白くない。」
杏寿郎が珍しくムッとしている。
いつもは口元に笑みをたやさないが、今回はその笑みさえない。
泰葉は悪いことをしたな…と思った。
杏「泰葉さんは、俺の恋人ではないのか?」
そんなことを聞いて来る杏寿郎に驚き、慌てて顔を見る。
「れ、煉獄様にそんな思いをさせ「杏寿郎。」