第37章 合同強化訓練
〜杏寿郎視点〜
小芭内の屋敷を出て甘露寺邸までやってきた。
塀の外を歩いていると、休憩中なのか隊士達の声が聞こえる。
皆、辛いながらも頑張っているな!
今頃、泰葉さん達は時任のところだろうか…
小芭内のところにはいなかったし…。
あぁ、早く会えないものか。
『甘露寺さんの稽古で良かった…』
『泰葉さんだろ?眼福だよな。』
ん…?今泰葉さんと言ったか?
だとすれば会えるのか?
しかし…眼福とは…?
『でも、本当なのかな?時透様と泰葉さんって…』
……は?
今なんて言った?
時透と泰葉さんが何だって?
「それはどういう事だろうか!!」
俺の呼びかけに、驚いている隊士の声。
まぁ、そうだろう。
正門から入ろうと思っていたが、我慢できない。
悪いが塀から入らせてもらおう!
塀を飛び越え、話していたであろう隊士の前に立つ。
目の前にはビクビクした隊士達。
「先程の話、どういうことだろうか?」
なるべく気持ちを抑えないと、隊士達が萎縮してしまうな…!
笑顔を保ちながら話す。
『あ、あれは…』
隊士達は、時透と泰葉さんに立っている噂を話してくれた。
…が、しかし。
その噂はなんだ?
時透が泰葉さんを抱きしめるのは、確かに何度か目にしたことがある。
だがしかし、泰葉さんも満更でもなさそうだった…
優しい彼女は受け入れているのかもしれない。
でも、彼女は俺の恋人だろう?
他の男に抱きしめられて頬を赤らめているというのか…?
そう思っていると、嫉妬心が沸き立つ。
泰葉さんに直接聞かなければ。
…ところで、この隊士達の奇妙な服装はなんだ?
『甘露寺さんの稽古で着用するものでして…。』
「それは全員か⁉︎」
『はい』
まて!待て!待て待て!
これを全員?
男達の体にピッタリとしたこの服装は、筋肉のつき方や体の部位もなかなかに現れているという、この格好を泰葉さんもしている⁉︎
そんな格好見せられるはずがないだろう!
彼女のあの体を他の男に見せるなんて!
眼福…そういうことか!!!
俺は急いで泰葉さんの元に向かった。