第37章 合同強化訓練
蜜璃の稽古は、休憩時間は割と自由。
隊士達は外に出たりして、休んでいた。
『あー、あの柔軟は地獄だわ…筋が切れそう…』
『俺は音楽に合わせて踊れない…ずれちゃうんだよ…』
蜜璃の稽古は体力云々より、気持ち的にやられるものだった。
そんな甘露寺邸の塀の外を歩く人物。
炎柱 煉獄杏寿郎。
(うむ!皆頑張っているようだな!感心感心!)
柱は手が空いているとき、柱同士で手合わせをする。そうして互いの力を向上させ、また、他の柱の攻撃手段を確認する目的がある。
杏寿郎は小芭内との手合わせを済ませ、蜜璃のところに来たのだ。
しかし、そんな杏寿郎に聞き捨てならない言葉が飛び込んできた。
『でも、俺今甘露寺様の稽古で良かったと思ってる。』
『あぁ。泰葉さんだろ?眼福だよな。
あんな姿、時透様も見たことないだろう。』
『やっぱり本当なのかな?時透様と泰葉さんが…』
杏「それはどういうことだろうか!!!」
塀の外から聞こえて来る、大きな呼びかけに隊士達はビクッと肩を跳ねさせる。
『そ、その声は…炎柱様⁉︎』
杏寿郎は塀を軽々と飛び越え、隊士達の前に腕組みをして仁王立ちする。
杏「先程の話、どういうことだろうか?」
ニコッと笑っているが、纏った黒い空気。
圧がすごい。
『さ、先程と言いますと…?』
杏「時透と、泰葉さんがどうとか言っていただろう…。」
『あ、それは…』
隊士は震えながら、無一郎が泰葉のことを大好きだと抱きしめていたこと。そして、泰葉も満更でもなさそうだったので、2人は想いあっているのだろうという噂を話した。
だんだんと、杏寿郎の額に筋が立ち始める。
どうやら、1番聞かれてはいけない人に噂が渡ったようだ。
杏「して、君たちのその格好は?」
『これは、甘露寺様の稽古で着用するものでして。』
杏「全員か⁉︎」
『全員です!』
杏「!!!」
杏寿郎は慌てた様子で屋敷の中に入っていった。
『俺、まずいこと言ったかな?』
『…多分。』